建設の国際見本市がパリで開催、脱炭素技術に焦点

(フランス)

パリ発

2022年10月17日

欧州最大規模の建設見本市バティマット(BATIMAT外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます1036日、フランスのパリで開催された。約60年にわたり隔年開催されてきたが、新型コロナ禍で2021年の開催が延期され3年ぶりの開催となった。

今回は約1,700社が出展し、うち45%が新規出展企業だった。来場者数が新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比べて15%増加したことを受け、バティマット事務局長のギヨーム・ロワゾー氏は「パンデミック後、(来場者数で)欧州で2桁の成長を遂げている見本市は他にない」とコメント。他方、フランス国内からの来場者数が25%増となったのに対し、国外からの来場者数は15%減少した(建設専門情報サイト「バティジュルナル」106日付記事外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

写真 会場(ホール1)(ジェトロ撮影)

会場(ホール1)(ジェトロ撮影)

バティマットは、2020年から「気候変動」「環境」「利用者・居住者」「生産性」「職業」を建築における5つのメガトレンドとし、ステークホルダーの声を発信してきた。今回は、450のセッションに約1,000人の講演者が登壇し、革新的技術や規制などの最新情報を提供。さらに、建設業界が直面する多くの課題を議論した。主な議論対象の一例は、フランスの環境規制「RE2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注1)など環境関連規制、産業のデジタル化や新しい生産手法、建設業従事者に対する訓練や雇用確保、よりよい都市づくりに向けたコミュニティとの連携だ。

建材関連を集約したホールでは、既存建造物の再活用やリソースの節約、生産プロセスの効率化に資する製品やソリューションを提案する企業が多数出展した。会場内で最大のホール1では、低炭素セメント開発企業やわらなどのバイオリソースを用いた建材開発企業や、モジュラー建築(注2)企業が来場者の強い関心を集めた。同ホール内には、スタートアップエリアも設置され、100社近いスタートアップが出展した。このうち、自動塗装ロボットを開発するレ・コンパニオン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますVR(仮想現実)トレーニングのラーンミーアップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどがイノベーションアワードPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注3)を受賞した。

(注1)建物のエネルギー性能改善などにより、建設部門の脱炭素化を推進するための規制。20221月以降、建築許可申請対象の戸建て・集合住宅の建設計画などが対象。

(注2)工場で建築物の主要部分を製作し、ユニットを現場に運搬して短期で完工する建築システム。

(注3)建築バリューチェーン全体の課題に応える革新的技術を有する企業を顕彰する。167の製品・ソリューションの応募があり、82社がノミネートされ、選考により24社が受賞。

(伊藤生子、高村尚吾)

(フランス)

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