香港サイエンスパークでイベント開催、海外発スタートアップの進出にも期待

(香港)

香港発

2022年10月21日

香港サイエンスパーク(Hong Kong Science and Technology ParkHKSTP)は107日、施設見学を含むイベント「HKSTPオープンハウス」を開催した。HKSTPは、香港政府が出資するインキュベーション施設で、香港地場企業に限らず海外発のスタートアップに対しても、資金援助やネットワークの構築、研究設備の提供などの支援を行っている。

同イベントは、参加企業のビジネスチャンスの創出を目的としており、パーク内の施設見学や入居中のユニコーン企業(注1)との交流、ピッチイベントなどが行われた。

施設見学は、体験センターとバイオテック関連の企業が共同利用するインキュ-バイオ・コワーキング・ラボの2カ所で実施された。体験センターでは、AI(人工知能) ・ロボティクス、バイオ・メディカルテクノロジー、データ・スマートシティ、フィンテックの4分野に関連した技術を展示しており、参加者は展示品に触れながら最先端技術を体験した。

インキュ-バイオ・コワーキング・ラボには、顕微鏡や超低温保存設備などの高性能な研究設備が備えられている。なお、同ラボの利用を希望する事業者は、インキュ-バイオ・プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2)に申し込む必要がある。同プログラムへの参加が認定されると、研究設備の使用のほか、ビジネスマッチング支援や、最大600万香港ドル(約11,400万円、1香港ドル=約19円)の資金援助を受けることができる。

ピッチイベントは、「持続可能な建築」「ハイブリッド ワークスペース(テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドな職場環境)」および「カスタマー360AI技術などを活用した顧客行動分析)」の3つのセクションで構成された。

うち、「ハイブリッド ワークスペース」セクションの前半では、香港最大手の航空会社であるキャセイパシフィック航空、中国大手商業銀行の中信銀行、米国のIT関連商品卸売販売会社であるイングラム・マイクロ、およびマイクロソフトの4社がパネリストとして登壇。 (1) 仮想ワークスペースの開発、(2) ワークスペースにおける接続性やモニタリング、(3) データセキュリティーなど、新たな形の職場環境に関連するテーマについて議論が展開された。同セクションの後半には、7社の企業が自社の技術やビジネスモデルの魅力について、それぞれ3分間でピッチを行った。

香港では、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として義務付けられてきた、入境者に対する強制隔離措置が926日から撤廃(2022年9月26日記事参照)された。入境規制の緩和が進む中で、今後はより多くの海外発のスタートアップが香港への進出を検討するなど、ビジネスの活性化につながることが期待される。

写真 HKSTPのランドマーク(ジェトロ撮影)

HKSTPのランドマーク(ジェトロ撮影)

写真 施設見学では最新の科学技術を体験可能(ジェトロ撮影)

施設見学では最新の科学技術を体験可能(ジェトロ撮影)

写真 高性能な設備の数々(ジェトロ撮影)

高性能な設備の数々(ジェトロ撮影)

写真 スタートアップおよび大手企業の代表が集まった(ジェトロ撮影)

スタートアップおよび大手企業の代表が集まった(ジェトロ撮影)

(注1)企業価値または時価総額が 10 億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業を意味する。

(注2HKSTPによるバイオテック分野のスタートアップ向けの支援プログラム。

〔何樂晴(エスター・ホー)〕

(香港)

ビジネス短信 29d90a7486200511