インドネシアの9月の製造業の景気動向、年内最高値の53.7に
(インドネシア、ASEAN)
ジャカルタ発
2022年10月13日
S&Pグローバルが10月3日に発表したインドネシアの9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)(注1)は53.7で、前月の51.7から2.0 ポイント改善した(添付資料図参照)。13 カ月連続で景気判断の分岐点となる50を上回り、2022年1月以降で最も高い水準となった。
PMIを前月比でみると、過去8カ月で最大の伸びとなった。S&Pグローバルのレポートによると、国内市場の活発化と需要増に伴い、新規受注が拡大した。他方、輸出の新規受注は4カ月連続で縮小した。同レポートはまた、原材料価格と製品価格の上昇率がそれぞれ20カ月、15カ月ぶりの低水準となったことから、インフレ圧力は緩和されていると指摘した。
S&Pグローバルのエコノミスト、ローラ・デンマン氏は「インドネシアの製造業の健全性は1月以来最も強く改善されている。堅調な需要環境に支えられ、新規受注が約1年ぶりの大幅な伸びとなった。このような需要の改善は生産や雇用、購買活動が活発化したことによる。しかし、依然として過去の平均値を下回っている。現在の需要動向が持続すると楽観視する企業がある一方で、インフレが経済全体に及ぼす影響を懸念する企業もある」と述べた。
ASEANの複数国で景気の上昇傾向が継続
S&Pグローバルによると、ASEAN主要7カ国(注2)のPMIは53.5となり、12カ月連続で景気上昇の水準である50.0を上回った。前月比伸び率は2021年10月以降最も顕著だった。9月のPMIを国別でみると、インドネシアのほか、シンガポール(58.5)、タイ(55.7)、ベトナム(52.5)、フィリピン(52.9)が50.0を上回った一方、ミャンマー(43.1)、マレーシア(49.1)は50.0を割り込んだ。タイはデータ収集が始まった2015年12月以来、最も高いポイントとなった。背景に「生産高と新規受注の増加がある」としている。
(注1)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。
(注2)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国。
(八木沼洋文、尾崎航)
(インドネシア、ASEAN)
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