国際鉄道技術専門見本市「InnoTrans 2022」、ベルリンで4年ぶり開催
(ドイツ、日本)
ベルリン発
2022年10月04日
国際鉄道技術専門見本市「イノトランス(InnoTrans)」が9月20〜23日、ドイツ・ベルリンで4年ぶりに開催された。出展企業数は2,834社で56カ国から参加、入場者数は約14万人だった。前回の2018年開催時は出展企業数3,062社で61カ国から参加、入場者数16万1,157人だった。
日本鉄道システム輸出組合(JORSA)パビリオンへの共同出展(10社)と単独出展を合わせ、日本からは計23社が出展した。そのうち日本信号は西日本旅客鉄道(JR西日本)と人機一体と共同で開発中の「多機能鉄道重機」を紹介した。同機は、人と協働する人型ロボットで、主に線路上で行う高所重作業の負担を軽減することを目的としている。2024年春の実用化を目指しており、建設現場や高速道路など他のシーンでの活用も検討している。
東京メトロは今後の成長戦略の一環として、海外鉄道ビジネスへの参画・拡大を図っており、その柱の1つのオンライン講座「Tokyo Metro Academy」を紹介した。同講座は、東京メトロの専門家が講師を務め、これまで培った安全・安定運行実施のノウハウを海外の鉄道事業者などへ提供するもので、特にアジア圏からの参加者が多い。
近畿車輌は壁面パネルを活用し、国内のみならず、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、米国、フィリピン、香港で運行されている同社の自動運転車両、地下鉄車両、トラム(LRV)などを紹介した。同社の岡根修司代表取締役会長は「今後世界の津々浦々で近畿車輌の車両を走らせたい」とその意気込みを語った。
IHIは三次元レーザレーダを活用した踏切障害物検知システムを紹介した。同システムは既に日本国内に約2,500台、国外ではイタリアへ約300台を納入、フランスで8台が試験運用されている。3年前からドイツ鉄道の実証試験にも参加しており、現在は認可待ちの状態にある。同社はドイツ鉄道が管理する踏切への同システムの設置を目指し、9月20日にはイノトランスの会場でドイツ鉄道の子会社デーベー・バーンバウ・グルッペ(DB Bahnbau Gruppe)とのパートナー契約に調印した。
JORSAの吉田裕紀業務部長は「出展者数、来場者数ともに過去最高には至らなかったものの、新型コロナウイルス禍にもかかわらず、連日大盛況だった。鉄道業界最大の展示会で日本の鉄道システムについて共同出展を行う意義は非常に大きいと改めて感じた」と述べた。
次回のイノトランスは2024年9月24~27日に開催予定。
(和爾俊樹、矢島佳子)
(ドイツ、日本)
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