全米司法長官協会、連邦議会に航空サービス利用者保護の権限付与を要請

(米国)

米州課

2022年09月01日

全米司法長官協会(NAAG)は831日、航空サービスの利用者保護のため、航空業界における消費者保護法執行権限を州司法長官に与えるよう求め書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を連邦議会に提出した。NAAGは米国各州・地域の司法長官らで構成する。今回の書簡には38州・地域の司法長官らが署名している。

米国では、新型コロナウイルス感染拡大による旅客サービスの一時的な需要減退からの回復がみられる一方、航空便のキャンセルや遅延などが相次いでいる。書簡では、過去数年の間に航空会社の顧客サービスに関する苦情が利用者から相次いで寄せられているとした上で、それらに対処する責任を持つ運輸省(DOT)は、ケースに対応して適切な救済策を提供することができていないと指摘した。

こうした背景を踏まえ、書簡では議会に対し「適当な行動を取り、航空業界を統制する州および連邦の消費者保護法を執行する権限を州司法長官に与える法律を可決すること」を要請するとともに、航空サービス利用者の苦情に関する連邦調査の権限を運輸省から司法省や連邦取引委員会(FTC)のような消費者保護に主眼を置いた機関へと移行することを検討するよう求めた。

一方で、ピート・ブティジェッジ運輸長官は819日に公開された航空会社に向けた書簡で、遅延や欠航に直面した乗客に対して十分なサービスを提供するよう要請するとともに、各航空会社の遅延やキャンセルに関する方針をまとめたウェブサイトを開設すると発表しており、これを受けた主要航空会社は8月下旬にかけて新たな対応策を相次いで発表している(CNN91日)。NAAGが今回提出した書簡では、これらの取り組みを認識し支持するとしつつも、同省の取り組みに対して「われわれは深い懸念といらだちを抱いたままだ」とし、司法長官や運輸省以外の連邦機関が航空旅行者のための消費者保護を執行する権限を与えるべきと強調している。

米国では93日から95日のレーバーデーにかけた連休期間に渡航者数の増加が見込まれる中、運輸省や航空業界の対応が注目される。

(滝本慎一郎)

(米国)

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