中国国務院、山東省のグリーン発展促進に向けた意見を発表
(中国)
青島発
2022年09月22日
中国国家発展改革委員会は、9月2日に発表された「国務院の山東省における新旧エンジン転換の深化とグリーン・低炭素・高品質な発展促進への支援に関する意見」(以下、意見)に関する記者説明を実施した。
意見が発表された背景には、山東省は域内総生産(GRP)が省・市別で3位(2021年)とその経済規模が大きい中で、エネルギー消費量も大きく、またエネルギー源を石炭に偏重している現状がある。エネルギー消費量と二酸化炭素(CO2)排出量がともに全国の約10分の1を占める山東省で、「新旧エンジン転換」(注)を主軸とした長期的な構造転換を図り、質の高い発展を目指す。
意見では、山東省の今後の発展の在り方について、(1)「新旧エンジン転換」の深化、(2)グリーン・低炭素型発展の推進、(3)工業化とデジタル化の高度な融合、(4)黄河流域の生態保護と質の高い発展戦略の実施などの方向性が示された。
2035年までに炭素排出量のピークアウトを目指す
意見では、「新旧エンジン転換」の深化に関連して、以下のような措置などが示された。
- 化学工業、非鉄金属、建築資材、繊維、軽工業などの従来型の重要産業におけるグリーン・ハイエンド化を推進する。
- 重化学工業については、集約化なども通じた立地の最適化や構造調整を加速させる。
- 高エネルギー消費・高汚染物質を排出するプロジェクトの無条件での推進を抑止し、新規プロジェクトに対して生産能力、石炭消費量、エネルギー消費量、炭素排出量、汚染物質排出量などの減量と代替を厳格に要求する。
また、グリーン・低炭素型発展の推進に関連して、以下のような措置などが示された。
- 千万キロワット級の海上風力発電基地や大規模な風力・太陽光発電基地の建設を支援し、原子力発電所の大規模開発を推進する。
- 省をまたいだグリーン電力の提携にも注力し、甘粛省の隴東地域から山東省への超高電圧送電線の敷設を加速するとともに、その電線で送電する電力の50%以上を再生可能エネルギーとする。
意見では、これらの取り組みを通じて、2027年までにグリーン・低炭素・高品質な発展に向けた先行区を構築してブレークスルーを果たし、成功モデルを形成するとともに、2035年までに炭素排出量のピークアウトおよび安定した減少局面に入ることを実現するといった目標が掲げられた。
(注)「新旧エンジン転換」とは、産業のアップグレード実現に向け、ビジネスモデルや業態、技術・エネルギーを、従来型から新型に転換する取り組みを示す。2018年1月3日に、国務院は山東省の「新旧エンジン転換総合試行区」の設立を認可し、同試行区の建設方案を発表した。
(董玥涵)
(中国)
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