米超党派議員、バイデン政権に対外投資審査に関する行政措置を要請

(米国、中国、ロシア)

ニューヨーク発

2022年09月29日

米国連邦議会の上下両院超党派議員8人は9月27日、ジョー・バイデン大統領に対して対外投資審査に関する行政措置を要請する書簡を送付した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

米国の安全保障上懸念のある対外投資審査に関する法的権限・制度の創設については、トランプ前政権時から議論が続けられている。中でも、今回の書簡提出の中心となっている上院のボブ・ケイシー議員(民主党、ペンシルベニア州)とジョン・コーニン議員(共和党、テキサス州)は、2021年から法制化に取り組んでいる(2021年9月1日付地域・分析レポート参照)。同年5月に「国家重要能力防衛法案(NCCDA)」を発表し、一時は2022年8月に成立した「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法」の中に含めるという案も出ていたが、結局、審議過程で落とされた経緯がある。NCCDAは中国やロシアといった米国の敵対国を念頭に置き、それらの国々に重要な生産能力やサプライチェーンが移転されないよう、通商代表部(USTR)に省庁横断の委員会を創設し、対外投資を審査する権限を与える内容となっている。

今回の書簡では、利害関係者や政権からのインプットを受けてNCCDAの内容を改定しているとしながら、法案の審議を待たずに、政権が行政措置を取ることを要請している。具体的には、大統領令によって対応することを求めている。書簡の提出者には、上下両院の民主党トップのチャック・シューマー上院院内総務(ニューヨーク州)とナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州)も加わっている。署名した議員は「われわれの製造力と技術的ノウハウを敵対国に譲り渡すことは、われわれの経済や国際競争力、米国の労働者、産業および国家安全保障に打撃を与えることになる。国家として直面しているこれらの深刻なリスクの範囲と度合いに対応するための政府の行動は、大きく後れを取っている」と記し、バイデン政権に早期の行動を促している。

(磯部真一)

(米国、中国、ロシア)

ビジネス短信 df10a9745a1e4ea9