北欧各国の中銀、高インフレで相次ぎ利上げを発表
(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)
ロンドン発
2022年09月26日
北欧各国の中央銀行は高いインフレ率を受け、政策金利の利上げを相次いで発表した。
スウェーデン国立銀行(中央銀行)は9月20日、政策金利を1ポイント引き上げ、年1.75%とすると発表した。インフレターゲットが導入された1993年以来、最大の引き上げ幅と報じられている(「ダーゲンス・ヌーヘーテ」紙9月20日)。8月のインフレ率は、1991年以来最高の9.0%に上昇している。同行はインフレ率(CPIF)を目標としている2%まで引き下げるため、金融政策をさらに引き締める必要があり、今後6カ月間は引き上げを継続するとしている。同行は、2023年には政策金利を2.5%へ引き上げる見込みとしている。資産購入も2022年末には終了する予定で、資産保有額は徐々に減少するとしている。
ノルウェー銀行(中央銀行)も9月22日、政策金利を0.5ポイント引き上げ、年2.25%とすると発表した。次回の金融政策決定会合が行われる11月にも、さらに引き上げられる可能性が高いとしている。今回の引き上げにより、労働需要と財・サービスへの需要を低下させることで、賃金と物価の上昇を抑制するとしている。また、引き上げは通貨ノルウェー・クローネ高につながり、輸入品のインフレ抑制に資するとしている。ノルウェーの8月のインフレ率(CPI)は6.5%で、ターゲットの2%を大幅に上回っている。
デンマーク国立銀行(中央銀行)は9月8日、政策金利を0.75ポイント引き上げ、年0.65%とすると発表した。2012年には同行として初めてマイナス金利を導入、今回の利上げで、2014年から約8年に及ぶマイナス金利から脱却した。8月のインフレ率(CPI)は8.9%となっており、ターゲットの2%を大きく上回る。同行は9月21日、2022年のインフレ率を、過去40年間で最高水準の8.6%となるとの予測を発表した。デンマークでは、他の欧州諸国よりも失業率が低く、労働力不足が深刻となっている。同行は、労働市場への圧力・高需要・高インフレが、賃金と物価の上昇スパイラルを生み出しているとして、財政規律を強化し需要を大幅に削減する必要があるとしている。
(島村英莉、篠崎美佐)
(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)
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