フォードなど米自動車業界、バッテリー用重要鉱物にかかる国内認可手続きの迅速化要望

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月06日

米国の自動車メーカーのフォードや業界団体の自動車イノベーション協会(AAI)などが電気自動車(EV)用バッテリーなどで使用する重要鉱物を確保するため、国内の関連事業に対する認可手続きを迅速化するよう米国内務省に要望していることがパブリックコメントから分かった。

内務省は国有地や天然資源の大半の管理を所管している。20211115日に成立したインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)に含まれる「重要鉱物のサプライチェーンと信頼性(第40206条)」の中で、同省は1年後の20221115日までに「国内の重要鉱物の探査と開発に対する許可の適時性を高めるため、規制や立法の提案を含む追加措置を特定」し、議会に提出するよう求められている。そのため、同省は環境保護庁や陸軍工兵司令部、農務省、商務省、エネルギー省、国防省、環境諮問委員会、国家経済会議(NEC)とともに省庁間作業グループ(IWG)を設立し、830日を締め切りとしてパブリックコメントを募集していた。

フォードはコメントで「今日の非効率な認可手続きにより、米国の企業は国内での重要鉱物の抽出と処理に投資することが困難になっている。現在認可に710年かかる場合があるが、カナダとオーストラリアは厳しい環境基準を維持しながらも、生産者が23年で認可を受けられる政策を採用している」と述べ、大容量バッテリー生産のための鉱物採掘プロジェクトに対し、3年以内に認可するよう求めた。また、AAIも「米国は(鉱物の)責任ある採掘から処理、リサイクルに至るまで、国内の循環型経済を構築するという点で、主導的な役割を果たす機会を得た」とし、「現在の重要な鉱物生産認可手続きの遅れは、クリーンな輸送手段とバッテリー材料生産のリーダーとしての米国の台頭を遅らせる可能性がある」と主張している。新興EVメーカーのリビアンは「米国の銅とコバルトの埋蔵量の多くは先住民の土地またはその近くに位置している。鉱業関連のどんな国内法を更新するに当たり、自由かつ事前に十分な情報を共有し、同意を得た上で、先住民と協議することが重要だ」と関連する規制の近代化を要請している。

(大原典子)

(米国)

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