スウェーデン総選挙、与野党陣営が拮抗

(スウェーデン)

ロンドン発

2022年09月13日

スウェーデンで9月11日、総選挙(定数349)が実施された。現地時間9月12日時点の暫定結果では、与党の社会民主労働党が得票率30.5%で第1党の座を維持したが、極右政党とされるスウェーデン民主党が前回に続き躍進した(添付資料表参照)。前回選挙から得票率をさらに3.11ポイント伸ばし、穏健党(保守党)を抜いて第2党となっている。

投票率は81.3%で、前回の84.4%(注)を3.1ポイント下回っている。

選挙管理員会は、国外からの投票など、選挙当日までに投票所に届かなかった票を合算するため、集計を14日もしくは15日まで行う予定としている。暫定結果では現職のマグダレーナ・アンデション首相(社会民主労働党)を支持する中央党、左翼党、緑の党の中道・左派連合を、穏健党のウルフ・クリステルソン氏を支持するスウェーデン民主党、キリスト教民主党、自由党の右派連合が1議席上回る結果となり、与野党陣営が拮抗(きっこう)している。

前回に続き躍進をみせたスウェーデン民主党は、大規模な移民がスウェーデンの生活環境の悪化や多くの社会問題の原因となっているとして、従来の移民政策を批判。近隣国以外からの難民受け入れを停止するとしているほか、国内法制の強化を行うとしている。また、集団犯罪などの重要課題への対策として、警察官の待遇改善や刑事犯への罰則強化を掲げている。これら国内の治安強化に向けた公約が評価されたとみられると、ブルームバーグなどが報じた(9月12日)。

なお、右派政権へと交代が行われた場合でも、中心となる穏健党はNATO加盟を歓迎しており、加盟に向けた動きが妨げられることはないとみられる。

一方で、米国シンクタンクの大西洋評議会は、選挙結果によってNATOへの姿勢は変わってくるとしている。与党・社会民主労働党が、NATO加盟に反対の姿勢をみせていた緑の党や左翼党の支持を必要とする場合、NATOへの関与度合いが低下する恐れがあるとしている。

(注)前回暫定結果(2018年9月10日時点)の投票率。最終的な投票率は87.2%。

(山田恭之、篠崎美佐)

(スウェーデン)

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