森トラスト、ワシントンに5億3,100万ドルでオフィスビルを取得

(米国、日本)

ニューヨーク発

2022年09月12日

不動産大手の森トラストは98日、米国子会社の森アメリカを通じて、米国ワシントンDCのオフィスビルを5億3,100万ドルで取得したことを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。830日(米国時間)に取引が完了した。

取得物件は地上11階、地下5階のオフィスビルで、敷地面積は4,173平方メートル。用途はオフィスや店舗、駐車場(314台)といった主に賃貸向けを計画している。

米国でのオフィス空室率は高止まりしており、出社と在宅を併用したハイブリッド勤務の導入が進む中、オフィス回帰の動きは鈍い状況にある(2022年9月8地域・分析レポート参照)。こうした現状に対して同社は、取得物件は2002年以降に官民一体で再開発された「マウント・バーノン・トライアングル」と呼ばれる区画に位置し、当該エリアにおける高品質オフィスへの需要は今後も堅調と予想されることから、安定した不動産資産として長期的な運用を行う予定としている。また、当該エリアは、行政機関が多く点在し、ホワイトハウスと連邦議会議事堂を結ぶ通りから徒歩15分以内にあることに加えて、テック企業が多く拠点を構えることから(注)、今後も一定のビジネス需要が見込まれ、さらなる成長が期待されるエリアとしている。

日米の金融政策の方向性の違いなどから、為替相場は足元で1ドル=140円超の水準で推移するなど、2022年初の1ドル=110円超に比べれば3割近い円安水準にあることから、米国での物件購入には不利な状況だが、同社は「これほど優良な物件はなかなか市場に出ない。円安を考慮しても割安感がある」(読売新聞99日)とコメントしている。

なお、森トラストでは2016年に策定した中長期ビジョン「Advance2027」において、不動産累計投資額2,000億円を掲げていたが、今回の物件取得でこれを前倒しで達成したことも併せて発表した。

(注)ワシントンは、WalletHub2019年に行った調査において、全米3位にランキングされている。ジェトロの「ワシントンDC、メリーランド、バージニアのスタートアップ・エコシステム」PDFファイル(1.2MB)レポート参照。

(宮野慶太)

(米国、日本)

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