米税関、強制労働に基づくインド衣料品メーカーからの輸入差し止め撤回

(米国、インド)

ニューヨーク発

2022年09月15日

米国税関・国境警備局(CBP)は9月7日、インドの衣料品メーカー、ナッチアパレル(Natchi Apparel)が生産した衣服に対する、強制労働に依拠した製品の輸入を差し止める違反商品保留命令(WRO)を撤回したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日以降、同社の衣服は米国への輸入が許可され、CBPが差し止めた同社製品も解放される。

CBPは、強制労働を使用して生産された製品の輸入を禁じる1930年関税法307条に基づき、WROを発令する権限を持つ(注)。CBPは7月、ナッチアパレルが生産した衣服に対しWROを発令したが、その後、同社と親会社のイーストマンエクスポートがWROで特定されたILOの強制労働指標外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの5項目に対処したとしてWROを撤回した。

CBPは、ナッチアパレルが強制労働の問題に対処するに当たってNGOも関与したと明らかにし、今回のWROの撤回について、市民社会や労働者団体、企業、CBPの迅速な協力事例として評価した。CBPは、米国のサプライチェーンから強制労働を排除する上で市民団体、輸入者との協力を重視しており、7月にはCBPを所管する国土安全保障省(DHS)が国際NGOのリバティーシェアドとの戦略提携を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

CBPは6月末時点で有効なWROを54件発令している。2022会計年度(2021年10月~2022年9月)にWROに基づいて差し止めた貨物の数は6月末時点で2,010に達し、既に前年度(1,469)を大きく上回っている。

(注)米国の人権関連法・規制や、サプライチェーンに関わる規制の運用、実務上の対応などについては、2021年6月25日付地域・分析レポート調査レポート「グローバル・バリューチェーン上の人権侵害に関連する米国規制と人権デューディリジェンスによる実務的対応」を参照。

(甲斐野裕之)

(米国、インド)

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