オーストリア政府、使い捨て飲料容器のデポジット制度の詳細を決定

(オーストリア)

ウィーン発

2022年09月20日

オーストリアのレオノーレ・ゲベッスラー気候行動・環境相は9月8日、2021年10月に承認された廃棄物処理法の改正案で定められた使い捨て飲料ペットボトルと缶のデポジット制度導入の詳細を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2025年1月から、容量0.1~3リットルのペットボトルと缶に25セントのデポジットが義務付けられる。衛生上、乳製品の容器は対象外となる。対象製品の販売所(スーパーマーケット、小売店、キオスク)でペットボトル・缶を返却することで、デポジットが返金される仕組み。

州ごとに異なる制度の発生を防ぐために、政府は、デポジット制度の構築と運営をオーストリア全体で「使い捨て容器デポジット協会」に委託した。同協会は、飲料品製造者協会、連邦産業院(WKO)食料品販売委員会、飲料品メーカーのコカ・コーラ、レッドブル、エッガー、オッタークリンガー、ワルドクエレー・コベルスドルフ、小売り大手のレーベ(ビラ-など)、スパー、リドル、ホーファーなどが会員になっている。

同協会の会長でビラーの取締役であるロベルト・ナゲレ氏は、記者会見で「使い捨て容器のデポジット制度の実施で、食品小売店は容器回収を担当することになる。その円滑な実施は大きな課題だ。2025年からの実施が成功するように全力を尽くす。われわれ小売店としては、顧客へのデポジットの返金ができるだけ便利に行われることが最大の関心事だ。同制度はプラスチック廃棄物の減少に持続的に貢献するために欠かせない条件となる」と述べた。

ゲベッスラー気候行動・環境相は「デポジット制度の詳細の確定は、2025年からの同制度の開始に向けて大きな一歩だ。空き容器に25セントの値段が付くことにより、容器が確実に返却されることが確保できる。返却は飲料を購入するあらゆる場所で可能で、実用的なシステムだ。これにより、廃棄物の減少を実現できる」と述べた。気候行動・環境省は、関係業界との協議を今後も続ける予定としている。

「ディ・プレッセ」紙(9月8日)によると、オーストリアでは、年間90万トンのプラスチック廃棄物が発生し、うち5万トンは飲料容器(ペットボトルと缶で合計24億本)となっている。EUはプラスチック飲料ボトルについて、2029年までに、回収率90%を目標に掲げている。オーストリアでは現在、飲料ボトルで70%、缶で37%しか回収されていないため、デポジット制度の導入により、EUの目標の達成に大いに貢献することが期待されている。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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