米超党派上院議員、国家情報長官に長江メモリのリスク分析を要請、アップルが半導体チップの調達を検討
(米国、中国)
米州課
2022年09月27日
米国連邦上院議会の超党派議員4人は9月21日、アップルがiPhoneに搭載するNAND型フラッシュメモリーについて、中国の長江メモリ(YMTC、長江存儲科技)からの調達を検討していると公に認めたことに関し、アブリル・ヘインズ国家情報長官宛てに、これらが米国の安全保障にもたらすリスクを分析・検証するよう求める書簡を送付した。書簡には、マルコ・ルビオ議員(共和党、フロリダ州)、マーク・ウォーナー議員(民主党、バージニア州)、チャック・シューマー上院院内総務(民主党、ニューヨーク州)、ジョン・コーニン議員(共和党、テキサス州)の署名が付されている。
超党派の上院議員は、書簡の中で「YMTCと提携するいかなる決定も、それによって開発される製品の市場がどのようなものであれ、中国共産党の歪(ゆが)んだ不公正な貿易慣行を肯定し報いることになる。それは他国の競合他社を犠牲にし、中国企業に大きな利益をもたらすことになり、米国企業を世界的に弱体化させる」と述べ、危機感をあらわにした。また、バイデン政権が2021年に「中国のメモリーチップのトップメーカー」と表現するほど、YMTCはこの分野における米国の競争相手だとしている。
具体的には、次の事柄について分析・検証を求めている。
- 中国共産党が、自国の半導体産業を強化・内製化し、米国や同盟国、パートナー国の半導体メーカーに取って代わる計画の一環として、YMTCをどのように支援しているのか。
- YMTCは、ファーウェイ(華為技術)を含むほかの中国企業による米国の制裁回避を支援する上で、どのような役割を果たしているか。
- YMTCは、中国の軍民融合プログラムにおいてどのような役割を果たし、人民解放軍とどのようなつながりを持っているか。
- アップルによるYMTC製品の調達は、米国の国家安全保障および経済安全保障にどのようなリスクをもたらし得るのか。
さらに、上院議員4人は、YMTCと中国共産党の関係に関する上記の分析・評価のほか、YMTCについて包括的な公開報告書を作成するよう要請した。これらについて、2022年10月1日までの回答を要求している。当該4人を含む7人の上院議員は7月28日にも、ジーナ・レモンド商務長官宛てに、YMTCが米国の半導体産業や安全保障にもたらすリスクについて警告する書簡を送付している。
(片岡一生)
(米国、中国)
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