2023年度は2%成長予測を前提に予算案を下院に提出

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月26日

アルゼンチン経済省は915日、2023年度(暦年)の国家予算法案を下院に提出した。予算案の前提として政府が算出した、2023年の実質GDP成長率の見通しは世界経済の減速を受けて2.0%にとどまっている。

写真 アルゼンチン国会(ジェトロ撮影)

アルゼンチン国会(ジェトロ撮影)

予算案によると、2023年の基礎的財政収支赤字は対GDP2.0%に抑制するとしている。これは、20223月に実施したIMFとの債務再編合意に従ったもの。IMFとの合意による目標値はGDP1.9%の赤字だが、現地調査会社エコ・ラティーナによると、予算案が示す基礎的財政収支は予算外の収支を含むため、実質的にはIMFとの合意内容に沿ったものとなっている。予算案は、財政のさらなる健全化に向け、各種税負担軽減措置の見直しが必要と主張している。産業振興から所得格差是正まで幅広い分野の税負担軽減措置による2023年の歳入ロスは、GDP2.49%と算出した。例えば、司法府の職員や最高裁判所判事の所得税免税については、税の公平性や平等性に負の影響を与えているとしており、歳入ロスの縮小に政治的決断を求めている。

予算案の前提となる、政府による2023年以降の経済見通しも明らかになった(添付資料表参照)。それによると、2023年から2025年にかけて実質GDPは年2.0%の低成長が続く。2023年の消費者物価上昇率を60%と政府は見込むが、アルゼンチン中央銀行がエコノミストらを対象に毎月実施するアンケート調査では、中央予想値の最新結果は84.1%で、政府見通しと大きく乖離している。名目為替レートは、2022年末から2023年末までにインフレ率を上回る62%下落する。政府は急激な切り下げを否定しているため、毎月の下落幅を徐々に拡大していくとみられる。予算案は今後、下院、次いで上院の順に審議される。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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