都市のデジタル化を示すスマートシティ指数、ハンブルクが首位

(ドイツ)

ベルリン発

2022年09月29日

ドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)は920日、ドイツの主要都市におけるデジタル化の進捗度合いを示す「スマートシティ指数2022」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドイツの人口10万人以上の81都市を対象に、行政、IT・通信、エネルギー・環境、モビリティ、社会の5分野で各種データを分析・評価の上、指数を算出した(添付資料表参照、注1)。

スマートシティ指数が最も高かったのはハンブルクで、86.1ポイント(満点:100ポイント)と4年連続で首位に立った。社会分野において、市民参加、オープンデータや地理データの活用が先進的で、1位を獲得した。また、特にモビリティ分野での、市内の自動運転やマルチモーダル交通(注2)など、多数の実証実験プロジェクトが注目される。次いで、ミュンヘンが85.3ポイントと僅差で2位に。ミュンヘンはモノのインターネット(IoT)活用の基盤となる大規模なLoRaWAN(注3)網や、自動運転のテストフィールド「TEMPUS」がコネクテッドモビリティの取り組み事例として評価された。ドレスデンが前年の6位から3位に躍進し、81.6ポイントを獲得。エネルギー・環境分野で、自治体のシュタットカルティエ・ヨハンシュタットにおける、エネルギー効率を高める持続可能な都市開発プロジェクトが代表事例として挙げられた。

BITKOMのアヒム・ベルク会長によると、スマートシティの実現とデジタル化の成功に必要な要素は、自治体の取り組み、デジタル戦略の策定、明確な仕組み、強力な地域ネットワーク、住民のコミットメントだという。特に、パンデミックの影響やエネルギー価格の上昇など現状を取り巻く課題にデジタル技術が貢献するとの見解を示した。また、各都市におけるデジタル化はいずれも前年よりレベルが向上しているが、進展のペースには一部で明らかな差が生じているという。また、大学都市には産学連携の活動が基盤としてあるため、平均してスコアが高く、自治体はスタートアップ企業に実証実験など協業の機会を積極的に提供すべきだとしている。

(注1)都市・自治体による回答率は85%、さらに公知情報から分析を行った。5分野を36の指標に分類し、オンライン市民サービス、シェアリングサービス、環境センサーからブロードバンドの利用状況など、合計133のパラメーターより算出。

(注2)効率的な輸送体系と良好な交通環境をつくるために、道路、航空、海運、水運、鉄道など複数の交通機関を連携させる交通施策。

(注3LoRaWANLong Range Wide Area Network)は、IoT向け無線通信技術の1つである長距離広域ネットワーク規格。

(中村容子)

(ドイツ)

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