チェコ政府、エネルギー価格高騰に対する企業向け支援策を発表

(チェコ)

プラハ発

2022年09月22日

チェコ内閣は9月14日、高騰するエネルギー価格への対策として、大口需要家向け補助金制度の概要を可決外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。エネルギー多消費企業にはエネルギーコスト総額の50~70%〔上限:2億コルナ(約11億8,000万円、1コルナ=約5.9円〕、その他の企業には最大4,500万コルナを支給する。産業貿易省は予算総額を300億コルナと見積もっている。補助金プログラムは、産業貿易省が詳細を詰めて、2022年末までに公表する予定だ。

補助金支給対象となる企業および条件外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは以下のとおり。

  • 製造業、農業、林業、漁業、鉱業に従事している企業
  • ガス消費量が年間630メガワット時(MWh)を超える企業、または高圧・特別高圧電力の供給契約を締結している企業
  • エネルギーコストが生産額の3%を超えるエネルギー多消費企業に関しては、営業損失を計上、かつ損失の50%以上がエネルギーコスト高騰に起因していること。その他の企業については、2021年に比較して、2022年2月1日~12月31日のエネルギーコストが2倍以上増大していること。

企業団体は、今回の補助金を肯定的に受け止めている。産業連盟のヤロスラフ・ハナーク会長は9月14日、内容は理想的と言えず実施が大幅に遅れたと指摘しつつ、「エネルギー価格の影響を最も多く受けている企業の少なくとも一部は今年中に支援が得られることが期待できる」とコメントした。一方で、概要発表から実施まで短い期間で、企業による申請と政府による審査が円滑に進む制度を設計する必要があると指摘。「企業の補助金受領が何カ月も先送りになるようなことがあれば、多くの企業が生き残れないだろう」と警告した。

エネルギーの小口需要家(世帯、個人事業者、小規模企業など)と公的機関に対しては、政府は9月12日の閣僚会議で価格上限設定措置を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。負担額について電気1キロワット時(kWh)当たり6コルナ、ガス1kWh当たり3コルナを上限と定める(VATを含む。ただし、送電網と送導網の使用料は含まれない)。これにより、電気代は1世帯当たり年間約2万~11万コルナ、ガス代は約1,500~7万コルナ(温水、暖房など使用範囲による)引き下げられると見積もっている。ペトル・フィアラ首相は、この上限は2022年11月から請求価格に反映されると述べた(注)。

なお内閣は9月14日、軽油の物品税の軽減期間の延長を定めた物品税法改正案も承認した。同法が成立すれば、軽油1リットル当たり1.5コルナを引き下げる措置の期限が、9月30日から2023年末まで延期される。

(注)光熱費は、前年の需要実績を基に当該年の支払い額が月割りで見込み請求され、後に1年分が精算される。

(中川圭子)

(チェコ)

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