パラグアイ投資フォーラム開催、投資機会に注目集まる

(パラグアイ)

ブエノスアイレス発

2022年09月15日

パラグアイの首都アスンシオン市で989日の2日間、同国政府主催の投資フォーラムが開催された。マリオ・アブド・ベニテス大統領のほか、商工相や財務相、農牧相、中央銀行総裁らの経済閣僚、米州開発銀行(IDB)総裁も参加し、国内外の投資家に対してパラグアイへの投資を呼びかけた。

写真 アブド・ベニテス大統領(左)とクレバー・キャローンIDB総裁(ジェトロ撮影)

アブド・ベニテス大統領(左)とクレバー・キャローンIDB総裁(ジェトロ撮影)

アブド・ベニテス大統領は冒頭、「政権や世代の枠を超えて国民の幸福を実現することを目的に、パラグアイに投資を呼び込むための制度を知ってもらうことをうれしく思う」と述べ、政権が交代しても経済政策に大きな変化がない同国の政治的安定性を強調した。

続いて登壇したIDBのマウリシオ・クレバー・キャローン総裁は、昨今のサプライチェーンの分断が世界経済に大きな影響を与えている状況下、「ニアショアリング」とパラグアイの重要性について触れた。ニアショアリングとは、消費地近くに供給源を移転することを指し、特に林業や繊維産業、農業・食品、医薬品製造、自動車部品製造、知識集約型サービスなどの分野でパラグアイが持つニアショアリングの可能性に言及した。ルイス・カスティグリオーニ商工相も、サプライチェーンの中国依存を減らす上で、メルコスールとEUの自由貿易協定は重要で、「その発効のために努力する」と述べた。

投資フォーラムでは、パラグアイの投資機会として、再生可能エネルギーやデジタルトランスフォーメーション(DX)、農林・畜産業、物流・インフラ、金融についてパネルディスカッションが行われた。特に再生可能エネルギーでは、イタイプ水力発電所が生み出す豊富な電力を利用したグリーン水素製造の可能性に注目が集まった。英国のアトムエナジーのピーター・レビン社長が登壇し、2023年からグリーン水素の生産を開始すると発表した。パラグアイ国営電力公社(ANDE)のフェリックス・ソサ総裁も、グリーン水素をモビリティーに活用するとともに、水素からアンモニアを製造することで、肥料を域内外に供給し、「食料安全保障にも貢献できる」と述べた。

(西澤裕介)

(パラグアイ)

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