香港でサル痘感染例を初確認

(香港)

香港発

2022年09月09日

香港保健省は9月6日、香港で初となるサル痘の輸入症例が確認され、警戒準備措置を始動したと公表した。域内症例は確認されていない。

保健省の発表によると、感染者は30歳男性。9月5日にフィリピンから単独で香港に戻り、新型コロナウイルスの強制検疫を受けるため指定ホテルに移動した同日の深夜に発症し、香港島にある瑪麗醫院(クイーンメリー病院)に搬送された。感染隔離室に単独隔離され、症状は安定しているという。この感染者は8月2日から9月2日の間に米国とカナダに滞在歴もあるが、サル痘感染者との接触はなかったとしている。

香港政府は今回の症例確認を受けて「警戒準備措置」(注)を始動。感染の疑いがある者は医療監視または隔離下に置くとし、予防管理措置を強化すると表明した。また、香港政府は濃厚接触者の隔離施設を既に手配しており、引き続き必要な対応措置を実施する予定だ。

また、保健省は世界保健機関(WHO)と中国本土の関連当局に今回の症例を報告するとともに、域内の医師や私立病院に書簡を送付し、感染者と接触歴のない場合でも症状がある患者が診察を希望した場合には注意するよう促した。

感染症専門家の林緯遜医師は「香港でサル痘が大流行するリスクは低いものの、感染者と長期にわたって接触を持てば、誰もが感染しうる」と述べている(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙9月7日)。

なお、サル痘のワクチンについては、香港政府は9月中に第1陣が到着する見通しとしている。

(注)香港政府は6月10日に発表したサル痘の緊急対応計画の中で、「警戒準備」「厳重」「緊急」の3段階の対応レベルを設定。今回始動したのは3段階のうち最も低いレベルの「警戒準備」。

(松浦広子)

(香港)

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