米下院共和党、中間選挙に向けた公約「米国への約束」を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月26日

米国連邦下院議会で共和党トップのケビン・マッカーシー院内総務(カリフォルニア州)は9月23日、激戦州のペンシルベニア州を訪問し、11月の中間選挙における公約「米国への約束」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

マッカーシー氏は会合の中で、「民主党は下院も上院もホワイトハウスも支配している。しかし、自らが生み出した問題を修復する計画を持っていない」と批判した上で、共和党は「米国への約束」に沿って強い経済を実現すると強調した。同公約は1年以上にわたり、全米の共和党議員からのインプットを受けてまとめ上げたものとされる(「フォックス・ニュース」9月23日)。公約は次の4つの柱から成っている。

  1. 強い経済:インフレと戦い生活費を下げる。米国のエネルギー自立を実現し、ガソリン価格を下げる。サプライチェーンを強化し、中国への依存を終わらせる。
  2. 安全な国:国境の安全を確保し、違法な移民に対処する。犯罪を減らし公安を守る。米国の安全を保障する。
  3. 自由の上に成り立つ未来:全ての生徒が成功し、親が子の教育について選択肢を持てることを確かなものとする。米国民の寿命と健康を増進させる。大手テック企業に対峙(たいじ)し、公平性を求める。
  4. 説明責任を果たせる政府:憲法上の自由を保全する。ワシントンの説明責任を追及する。人々の声を取り戻す。

経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブが、9月17~20日に実施した直近の世論調査によると、有権者が最も重視する問題として「インフレ」「雇用・経済」がトップとなっており、それに「気候変動・環境」「ヘルスケア」「中絶」が続く。これら課題に対処する上で、他党に比べてどれほど自らの党が優位であるかを有権者に訴えられるかが、選挙での勝敗を左右するとみられる。ジョー・バイデン大統領および民主党の支持率は、保守派判事が多数を占める最高裁判所が女性の人工中絶権を認めた過去の判例を覆したことや、史上最大規模の気候変動対策予算やヘルスケア改革を含んだ「インフレ削減法」を民主党が単独で成立させたことなどから、上昇傾向にある。しかし、主要な選挙予想サイトではいまだに、下院は共和党が奪還するとの予測が相場となっている。11月8日に実施される選挙に向けて、今後、両党による激しい舌戦が繰り広げられることが予想される。

(磯部真一)

(米国)

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