ifo経済研究所、ドイツ経済の見通し下方修正、高インフレが悪影響

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年09月20日

ドイツの主要経済研究所の1つ、ifo経済研究所は9月12日、秋季経済予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年の実質GDP成長率を1.6%とし、前回予測(2022年6月28日記事参照)から0.9ポイント下方修正した。2023年はマイナス0.3%とし、前回予測から4.0ポイント下方修正した。四半期ごとでは、2022年第3四半期(7~9月)が前期比0.0%、第4四半期(10~12月)がマイナス0.2%、2023年第1四半期(1~3月)はマイナス0.4%と、2期連続でマイナス成長が続くと予測した。

同研究所は下方修正の主因として、個人消費の減少を挙げた。個人消費は2022年の前年比4.0%(前回予測から0.8ポイント減)から、2023年はマイナス1.9%(同4.9ポイント減)に転ずるとの予測だ。大きく下方修正したのは、エネルギー価格高騰などによる消費者物価の上昇が家計の実質収入と貯蓄を減少させ、購買力を低下させているためだ。

消費者物価については、2022年は前年比8.1%(前回予測から1.3ポイント増)、2023年は9.3%(同6.0ポイント増)の上昇率とした。2023年第1四半期(1~3月)が上昇率のピークで、前年同期比約11%になる見通しだ。2024年には2.4%に落ち着く予測だが、欧州中央銀行(ECB)のインフレターゲット2%(2022年9月9日記事参照)を引き続き超える。

同研究所は産業の現状と見通しも分析。今夏の製造業は、(1)原材料・部品の供給不足、(2)価格高騰と世界経済減速による需要減により生産が減少したが、受注が積み上がっているため、生産の急減にはつながらなかった。2022年第3四半期からはゆっくりと回復するとした。他方、建設業は、建設費の高騰や金利上昇などにより、大きな影響を受けているとした。

他の主要経済研究所も相次いで、ドイツの経済成長率見通しを引き下げている。キール世界経済研究所(IfW)は9月8日、実質GDP成長率を2022年が1.4%、2023年がマイナス0.7%とし、前回予測からそれぞれ0.7ポイント、4.0ポイント下方修正した。ハレ経済研究所(IWH)も同日、実質GDP成長率を2022年が1.1%、2023年がマイナス1.4%とし、前回予測からそれぞれ0.4ポイント、3.4ポイント下方修正した。

(高塚一)

(ドイツ)

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