農水省など関係機関、ニューヨークで日本食・食文化の魅力を発信

(米国、日本)

ニューヨーク発

2022年09月27日

米国ニューヨーク市で9月21日、米国農産品輸出支援プラットフォーム(2022年4月28日記事参照)主導の下、日本の農林水産省、関係省庁、在外公館、ジェトロ、JFOODO、農林水産物・食品輸出促進団体などの関係機関が連携し、オールジャパンで日本食や食文化、日本産食材、日本の観光をPRするイベントが開催された。同イベントは、(1)発酵に関するセミナー、(2)日本食の魅力を紹介するレセプションの2部構成で開催され、さらに22日から27日にかけて、市内のレストラン21店舗と連携した消費者向けキャンペーンもあわせて実施されている。

セミナーでは、農林水産省が任命した日本食普及親善大使の小川洋利氏が「漬け」「酢締め」といった調理法や「手酢」といった寿司(すし)握りの技法など、食材を長持ちさせる衛生面での発酵調味料の活用を紹介した。また、一般社団法人木桶仕込み醤油輸出促進コンソーシアムの蜷川泰輔氏と弓削多洋一氏が醤油(しょうゆ)の歴史、発酵技術、製造方法などへのこだわりや魅力を説明した。

漬けまぐろの握り寿司などの試食や白たまり、濃口醤油、再仕込み醤油の味比べも行われ、弓削多氏は「ワインを食材によって選ぶように、醤油も食材によって使い分けることで、素材の味を生かした魅力的な料理になる」と醤油の奥深さを語った。参加者からは「醤油に豊富な種類があるとは知らなかった」「素材に合った醤油を使うと素材の味が引き立つ」など、醤油への理解が深まったとする声が聞かれ好評を得た。

本セミナーに出席した勝俣孝明農林水産副大臣は、閉会あいさつの中で、2021年の日本産メロンの米国向け輸出の解禁に触れつつ、さらなる日本食・食文化への関心の高まりに期待を示した。

写真 握り寿司の実演の様子(ジェトロ撮影)

握り寿司の実演の様子(ジェトロ撮影)

写真 醤油の説明の様子(ジェトロ撮影)

醤油の説明の様子(ジェトロ撮影)

写真 勝俣農林水産副大臣の閉会あいさつ(ジェトロ撮影)

勝俣農林水産副大臣の閉会あいさつ(ジェトロ撮影)

レセプションには、食関連事業者、政財界要人、メディア・インフルエンサーなど約150人が出席し、帆立(ほたて)の麹(こうじ)漬け、京風味噌(みそ)すき焼き、握り寿司、日本酒や本格焼酎など日本の発酵食材を堪能した。国連総会に出席中の岸田文雄首相と林芳正外相も、レセプションに参加した。岸田首相は乾杯のあいさつの中で、ニューヨーク州法の改正により容易にレストランで提供可能となった本格焼酎、熟成された古酒などを紹介し、さらなる日本食普及に向けて日本食の奥深さをアピールした。林外相も各出展ブースを回り、日本食を提供している事業者を応援した。

出席者からは「味噌や醤油などの発酵食品・調味料は頻繁に口にしており、食事の幅が広がっている」「食のトレンドとして健康に焦点が当たっている今、発酵技術を使う日本食に好機が訪れている」など、日本食の普及に期待する声が目立った。

本イベントによって、発酵食品を含む日本食・食文化が力強く発信された。日本食普及のさらなる飛躍のためには、今回のようなプロモーションの継続と関係者が一体となった取り組みが重要になる。

写真 岸田首相の乾杯あいさつ(ジェトロ撮影)

岸田首相の乾杯あいさつ(ジェトロ撮影)

写真 事業者の説明を聞く林外相(ジェトロ撮影)

事業者の説明を聞く林外相(ジェトロ撮影)

写真 大勢の参加者でにぎわう会場(ジェトロ撮影)

大勢の参加者でにぎわう会場(ジェトロ撮影)

(岡田卓也)

(米国、日本)

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