第2四半期のGDP成長率は前期比0.9%に

(オーストラリア)

シドニー発

2022年09月26日

オーストラリア統計局(ABS)は9月7日、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前期比0.9%だったと発表した(添付資料表1参照)。個人消費の増加と輸出の拡大が影響した。新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大による影響を受けた2021年第3四半期(7~9月)から大幅に改善した同年第4四半期(10~12月)以降、3四半期連続でプラス成長となった。また、前年同期比では3.6%成長した。

需要項目別の実質GDPを前期比でみると、国内における新型コロナウイルス関連規制の緩和や国境の再開によって、特に旅行関連での輸送・ホテル・レストランなどの個人消費が拡大したことから、民間最終消費支出は2.2%増となった。財貨・サービスの輸出は、5.5%増となった。鉄鉱石やリチウムなど鉱物資源や羊毛、肉、穀物類などの農産品の輸出が大きく増加したこと、国境の再開を受けた留学生増加によるサービスの輸出の大幅な増加が影響した。なお、旅行関連サービス輸出の伸びは、2000年第3四半期(シドニーオリンピック開催時)以来の伸びの高さとなった。

産業別にみると、旅行や外食需要の増加により宿泊・飲食サービス業(前期比10.7%増)や運輸・郵便・倉庫業(7.5%増)が大きく伸びた。また、通常より寒冷だった天候の影響によりエネルギー消費が増えたため、電気・ガス・水道・廃棄物処理業も4.1%増加した。新型コロナウイルス関連の制限緩和により、医療サービスも2.5%増加した。一方、オーストラリアの主要産業である鉱業は0.2%増にとどまった。石油・ガス(3.4%増)、鉄鉱石(0.5%増)が成長したものの、石炭(2.8減)は減少した(添付資料表2参照)。

ジム・チャルマーズ財務相は「今回の結果は、新型コロナウイルス感染拡大による景気後退からのオーストラリア経済の回復を反映しているものの、供給制約、技術労働者の不足、実質賃金の減少という課題を抱えている」と説明した。また「技術や教育面、安価なクリーンエネルギー、先端産業への投資を通じた経済活性化、子育て家庭への支援や医療費支援を通じた生活コスト削減といった、アルバニージー政権の公約を実現するために今後一層取り組んでいく」と決意を表明した。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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