米財務省、サイバー攻撃やロシア支援を理由にイランへの制裁強化

(米国、イラン、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年09月16日

米国財務省は99日、米国と同盟国に対するサイバー攻撃への関与を理由に、イラン情報省(MOIS)と同国のエスマイル・ハティブ情報相を制裁対象とる「特別指定国民(SDN)」に指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の制裁は20154月発表の大統領令13694外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づいて発動した。同大統領令は、米国の安全保障にとって重大な脅威を与える可能性がある、または実質的にその脅威に寄与したサイバー攻撃に関与したと見なされる個人や事業体に制裁を科す権限を財務省に付与している。財務省は今回の制裁の理由について、MOISとその協力者が少なくとも2007年以降、世界中のさまざまな政府機関や民間組織、重要なインフラ部門を標的としたサイバー攻撃を行ってきたと指摘。20227月には、イラン政府やMOISの支援を受けているとみられるサイバー組織がアルバニア政府のコンピュータシステムにサイバー攻撃を仕掛けたと断じた。

制裁対象には、在米資産の凍結や米国人(注)との資金・物品・サービスの取引禁止の制裁を科す。SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。外国人が今回の制裁対象と特定の取引をした際には、米国政府による制裁の対象になり得る(いわゆる2次制裁の適用)。さらに、外国の金融機関が制裁対象を支援したような場合も、制裁が科される可能性がある。なお、MOISはテロリスト集団の支援とイラン国民に対する人権侵害への関与を理由に、既にSDNに指定されている。対イラン制裁の全容については、財務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

また、財務省は98日には、イラン製無人航空機(UAV)のロシアへの輸送や研究開発・製造・調達に関与した事業体4社と個人1人をSDNに指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。このうち、テヘランに本社を置くサフィランエアポートサービスについては、イラン製UAVや関連機器のイランからロシアへの空輸を調整していると説明。ロシア空軍がウクライナ侵攻でイラン製UAVの使用を検討しているとの情報があるとしている。国務省も声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、諸外国の対ロシア制裁や輸出管理によって物資不足に苦しむロシア軍がイランなどから物資や装備を調達していると指摘し、米国政府は今後もロシアのウクライナ侵攻を支援する者の責任を追及していくと表明した。イラン製UAVに関してSDNに指定された対象の詳細は財務省のウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(甲斐野裕之)

(米国、イラン、ロシア、ウクライナ)

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