カナダ保健省、モデルナ製新型コロナ・オミクロン株対応2価ワクチンを承認

(カナダ)

トロント発

2022年09月02日

カナダ保健省は91日、米国製薬大手モデルナ(本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)製の新型コロナ・オミクロン株対応2価ワクチン「スパイクバックス」を、18歳以上を対象に使用を承認した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと発表した。カナダでの2価ワクチンの承認は初めて。米国では前日の831日に承認されている(2022年9月1日記事参照)。

同省は、臨床試験の結果、同社の追加接種用2価ワクチンは、変異型のオミクロン株(BA.1)および従来型の新型コロナウイルス株の両方に対して強い免疫反応を引き起こすことが示され、安全かつ有効と判断した。また、オミクロン株亜種の「BA.4」および「BA.5」に対しても良好な免疫反応を引き起こすことが確認され、免疫の持続性を高めることが期待されている。加えて、先に承認された同社の追加接種用スパイクバックスと同様の安全性プロファイル(注1)を有しており、軽度の副反応はすぐに消失したという。

同ワクチンについては、モデルナが822日、カナダ保健省によるオミクロン株対応2価ワクチンの薬事承認を条件に、カナダ政府へ1,200万回分を供給することを発表(2022年8月25日記事参照)していたことから、承認間近とみられていた。

発表を受け、ジャンイブ・デュクロ保健相は、2価ワクチンの初出荷分として78万回分が翌92日にカナダに到着予定であることを明らかにした。さらに1,050万回分が9月末までに配達される予定という(CBCニュース91日)。

カナダの国家予防接種諮問委員会(NACI、注2)は同日、各州や準州に対する新型コロナウイルスワクチン接種のガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を更新し、18歳以上へは追加接種用2価ワクチンを提供すべきだが、同ワクチンが提供できない場合には、予防を確実にするために従来型の追加接種用ワクチンを提供すべきだと勧告した。

なお、カナダ保健省および公衆衛生庁は、2価ワクチンの安全性と有効性に関する情報を同省に提供し続けることを承認の条件として課しており、安全性に関する懸念が確認された場合には措置を講じる予定としている。

(注1)治験などの臨床試験によって得られた有害事象や副作用に関する情報を一覧にまとめたもの。

(注2NACIは、小児科や感染症、社会科学、公衆衛生などの分野の専門家で構成され、連邦政府に新しく承認されたワクチンの使用に関する指針を提供している。

(飯田洋子)

(カナダ)

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