ドバイ首長が世界最大規模の水耕栽培施設を訪問

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2022年09月26日

アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム首長は913日、ドバイで7月にオープンした世界最大規模の水耕栽培施設であるブスタニカ(Bustanica)を視察した。同施設へは、8月にハムダン・ビン・ムハンマド・アール・マクトゥーム皇太子も視察に訪れている。

写真 ブスタニカ施設外観(ジェトロ撮影)

ブスタニカ施設外観(ジェトロ撮影)

ムハンマド首長はブスタニカについて、「このユニークな構想は、持続可能な食糧生産システムと、強靭(きょうじん)な農業を育成することで食料安全保障に取り組むという、国としての姿勢を反映している」と述べた。

同施設は、エミレーツ航空系列のエミレーツ・フライト・ケータリング(以下、EKFC)と、施設栽培事業を手掛ける米国のクロップワンとのジョイントベンチャ―企業であるエミレーツ・クロップ・ワンによって立ち上げられた。

同施設は、総面積が33万平方フィート(約31,000平方メートル)で、内部では野菜の栽培棚が積み重なるように配置されている。この施設により、年間1,000トン(1日当たり3トン)の野菜の生産が見込まれている。現在は主にケール、ルッコラ、ホウレンソウが栽培されているが、将来的には野菜の種類を増やすとともに、果物も栽培予定だ。

ブスタニカの発表によると、同施設では、肥料分の入った水をループ状に繰り返して使用している。これにより、従来型の屋外で土を使用する農法では野菜1キロの生産に317リットルの水が必要とされるところ、1キロ当たり15リットルまで減少させることができ、年間では25,000万リットルの節約になると試算されている。また、肥料が土壌に流出することによる損失を防ぐほか、病害虫の被害もなく、農薬も不要となる。

同施設から生産された野菜は、エミレーツ航空の機内で提供されるほか、UAEのスーパーマーケットでの販売も行っていく予定だ。

(髙橋建朗)

(アラブ首長国連邦)

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