2021年中国の対ブラジル投資、金額・件数ともに前年比大幅増

(ブラジル、中国)

サンパウロ発

2022年09月20日

ブラジル・中国ビジネス委員会(CEBC)(注1)は8月31日、「中国の対ブラジル投資2021年」と題する報告書を発表した。

同報告書によると、2021年における中国のブラジル向け投資額は前年比2.1倍の59億ドル、プロジェクト数では2.5倍となる28件だった。2021年に急増した要因の1つは、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中国からの投資額が大幅に減少したため、その反動とみられている。

しかし、2021年のプロジェクト数は2007年以降15年間で2番目に多い。2021年の投資額は2017年以降で最大となっており、中国の対ブラジル投資は歴史的に見ても高水準となった。

分野別にみると、プロジェクト数全体の46%(13件)が「電力」と最も多く、続いて「情報技術(IT)」が36%(10件)、「石油関連」が7%(2件)。「情報技術(IT)」の割合が2位となったのは、CEBCが調査開始以降初めてだ。本報告書の発表日と同日に開催されたCEBCのウェビナーを通じて、トゥーリオ・カリエッロ調査・コンテンツ部長は「2021年にはIT分野で10件のプロジェクトがあり、これは2007年から2020までの累計数12件に迫る実績だ」と説明した。投資額を分野別にみると、最も投資額が大きいのは「石油関連」で(85%)、次いで「電力」が9%、「IT」が 4%。ITについては、複数の投資家が共同で融資するケースが多く中国企業の投資額があくまで一部にとどまること、また、投資額が公表されないプロジェクトが含まれていることが、投資額が限定的になっている理由とみられる。

ブラジル中央銀行が2022年1月26日付で発表した、2021年におけるブラジルの直接投資受入額は、464億ドルで前年比22.75%増加した。CEBCは報告書の中で、中国からの投資額が2.1倍に増加したことを根拠に、ブラジルへの投資が勢い増している旨を強調した。米国シンクタンクの公共政策研究所(AEI)によれば、中国の2021年対外投資総額は約489億ドルで、ブラジル向けが約57億ドルと最も金額が多い。CEBCは、AEIの同データを引用し、「中国の投資家にとってブラジルが重要な投資対象国となっている」ことを示している。

(注)CEBCは、ブラジル・中国間の貿易および投資促進、ビジネス環境改善を目的に2004年に設立された非営利団体。北京市とリオデジャネイロ市の双方に事務所を構えている。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、中国)

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