製造業の中小・零細企業の納税猶予措置をさらに4カ月延長
(中国)
北京発
2022年09月22日
中国の国務院常務会議は9月14日、製造業の中小・零細企業に対する納税猶予措置をさらに4カ月延長することを決定した。猶予対象金額は4,400億元(約8兆8,000億円、1元=約20円)規模になるとした。同日、国家税務総局、財政部は「製造業中小・零細企業に対する一部の税・費用の納付猶予の継続実施に関する公告」を発表した。
公告によれば、製造業の中小・零細企業に対して、2022年9月1日から段階的に猶予期限を迎える一部の税・費用の納付につき、さらに4カ月猶予する(注1)。納付猶予対象は2021年11~12月分、2022年2~6月分の企業所得税、個人所得税、国内増値税、国内消費税、都市維持建設税、教育費付加、地方教育費付加(注2)となる。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、経営状況が厳しい製造業の中小・零細企業を支援するため、国家税務総局、財政部は2021年10月末、製造業の中小・零細企業における2021年第4四半期の一部の税・費用につき、3カ月納付猶予措置を講じるとの政策を打ち出した。2022年2月末に同政策は6カ月延長されたほか、2022年第1四半期と第2四半期の一部の税・費用についても、6カ月納付猶予することが発表された。
上海財経大学公共政策・ガバナンス研究院の田志偉副院長は、新型コロナウイルスの感染拡大により製造業企業が大きな困難に直面している中、納税猶予政策は企業のキャッシュフローを改善させ、無償融資を提供することに相当し、経営困難の克服に大きく寄与すると評価し、雇用と市場主体の安定化にもつながるとコメントした(「第一財経」9月14日)。
また、国務院常務会議では、以前から実施している製造業企業に対する増値税還付を加速させ、申請から還付までの所要時間を2営業日に短縮するとした。2022年9~12月に新たに還付される増値税は320億元となると見込まれている。
(注1)中規模の製造業企業については納税額の50%、小規模・零細企業については納税額の100%を納付猶予する。
(注2)都市維持建設税、教育費付加、地方教育費付加の3項目は、実際に納付した増値税(付加価値税)や消費税の税額を課税標準として課される付加税のこと。
(張敏)
(中国)
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