EU由来の法令を2023年末で失効させる法案を提出

(英国)

ロンドン発

2022年09月27日

英国政府は9月22日、「2022年維持されたEU法(撤回・改革)法案化〔Retained EU Law(Revocation and Reform)Bill 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕」を議会に提出したことを発表した(英国政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。本法案は、「ブレグジット自由法案」として議会に提出予定と2022年1月31日に発表されていたもの(2022年2月1日記事参照)。移行期間終了時に英国法にそのまま置き換えられ、英国の法体系に直接組み込まれた「維持されたEU法(retained EU law、注)」の改正や廃止、置き換えをより容易に行うことを可能にする。現在、「維持されたEU法」は英国法制において特別な地位が付与されており、移行期間終了前に成立した英国法に対して優先するとされている。本法案では、2023年末までにその序列を逆転させ、英国法を維持されたEU法に優先させるとしている。政府はこれにより、英国のニーズに合わせた新たな法規を制定することができ、手続きの削減や企業の投資の促進などにつながるとしている。

法案の主な内容は以下のとおり。

  • 維持されたEU法の大半を2023年末で失効させる。どの法律を失効させるか、または引き続き維持し英国法として取り込むかについては英国政府、自治政府が決定する。2024年以降も引き続き維持するとされた法律については、EU法としての特別な位置付けを撤廃し、国内法と「同化(assimilated)」させる。必要な場合には失効期限を2026年6月23日まで延長できる。
  • 英国の国内裁判所に対して、維持されたEU法の判例から乖離するための大きな裁量を与える。
  • EU規則など英国内に直接適用される法制の地位を格下げし、改正を容易にする。
  • 維持されたEU法を、委任立法(2次立法)を通じてより容易に改正、廃止、置き換えできるようにする。

(注)維持されたEU法については英国政府サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますより確認が可能。

(山田恭之)

(英国)

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