第2四半期の失業率改善は非正規雇用が下支え、年後半は悪化の懸念

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月29日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は9月21日、2022年第2四半期(4~6月)の国内31の都市圏を対象とした世帯アンケート(EPH)に基づく労働力調査の結果を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。完全失業率は6.9%で、前期比0.1ポイント減少し、前年同期比でも2.7ポイント減だった(添付資料表参照)。

第2四半期の就業人口は全人口の44.6%で、前年同期比の41.5%から3.1ポイント増加し大幅に改善した。しかし就業人口の内訳をみると、73.5%が給与所得者で、そのうち社会保障費を支払っていない就業者は37.8%を占め、前期比で1.9ポイント増加した。社会保障費を支払わない就業者、いわゆる非正規雇用の増加が、前期と同様に雇用を下支えしている。

完全失業率を男女別(14歳以上)にみると、男性が6.1%で前期比0.2ポイント悪化、女性は7.8%で0.5ポイント改善した。性別・年齢階層別にみると、14歳から29歳までの女性が13.9%で2.9ポイント減と改善した一方、同世代の男性は12.6%で1.2ポイント悪化した。

9月21日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、2022年上半期は、経済成長に伴い就業率も改善した。ただ、下半期は、物価上昇や輸入規制の悪化などによって経済の減速が見込まれている。インフレの加速による実質所得の減少が新たな収入源を求める人口を増やし、結果として就業率が高まるとしているが、他方で、景気後退により新規雇用が創出されなければ、失業率は再び悪化するとの専門家らの見方もある。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 365ed53fe04e6acc