日本の建設技術を活用し、社会課題解決に貢献

(サウジアラビア)

リヤド発

2022年09月29日

サウジアラビアの大手不動産開発グループ、アル・サエダンのアル・サエダン・フォー・デベロプメント(ASFD、本社:リヤド)は7月7日、會澤高圧コンクリート(本社:北海道苫小牧市)と合弁会社を設立することを発表した。両者は、双日の協力を受けつつ、2019年10月に開催された日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラムなどを通じて関係を強化してきた。同合弁会社では、戸建て住宅の構造体に、標準化されたプレストレストコンクリート部材を採用し、在来工法に代わる高耐久でクリーンな新躯体工法として、サウジアラビア国内市場での普及を図る。ASFDの最高経営責任者(CEO)であるマシャエル・ビン・サエダン氏にプロジェクトの進捗について聞いた(9月18日)。

(問)プロジェクトの現状と今後の事業計画は。

(答)サウジアラビア政府系ファンドの支援を得て、2023年春からリヤド近郊で(プレストレストコンクリート部材の)製造を開始する。さらに、その翌年には株式公開をするつもりだ。その後、国内市場に加えて、サウジアラビア政府が経済支援を行う諸国へのビジネス展開も計画している。

長年、不動産開発を担ってきたため、不動産開発に関するさまざまなデータの蓄積もある。日本の技術とデータを活用し、地域における重要な役割を担うことを目指している。携帯電話市場を作り替えた米国のアップルのように、不動産市場のニーズと変化を生み出す存在になるのが夢だ。

多くの市民にとって住宅は大きな投資だ。安定した高品質の住宅を提供し、国に貢献したい。

(問)国内の市場環境をどう見るか。

(答)リヤド王立委員会は、リヤドで450万人の人口増加を目指している(注1)。人口増加を図る一方、それに見合う住宅が大幅に不足している状況にある。仮に100万人規模の増加だとしても同様の状況だ。非常に大きな商機といえる。

(問)日本で人材育成を行う計画について。

(答)會澤高圧コンクリートの施設(注2)に、サウジアラビア人を毎年100人派遣する。全国からサウジアラビア人の技術者を募り、政府が目指す国内人材育成にも貢献したい。

写真 マシャエル・ビン・サエダン氏(ジェトロ撮影)

マシャエル・ビン・サエダン氏(ジェトロ撮影)

(注1)2021年1月29日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、サウジアラビア政府は2030年までにリヤド人口を1,500万~2,000万人に増やすことを目標としている。また、国家戦略「ビジョン2030」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、主に貧困層をターゲットとして国民の持ち家比率を2030年までに70%に増やすことを掲げている。

(注2)福島県浪江町で建設中の研究開発拠点である福島RDMセンター。

(秋山士郎)

(サウジアラビア)

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