2030年までの温室効果ガス削減目標を31%に引き上げ

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2022年09月20日

アラブ首長国連邦(UAE)は、気候変動への取り組みに関する「パリ協定」(注1)へのコミットメントとして定めた2030年までの温室効果ガス(GHG)排出削減目標を、31%へ引き上げると発表した。9月12日付でエミレーツ国営通信(WAM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますやロイター通信が報じている。

2020年12月にUAEが発表した2度目の「国が決定する貢献」(NDC)(注2)の中で、2030年までのGHGの削減目標を国内の自助努力で23.5%と設定していたが、今回の目標はそれをさらに7.5ポイント引き上げたかたちだ。2021年に英国で開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)における「グラスゴー気候合意」において、パリ協定参加各国は2030年までの排出目標を2022年末までに再検討、強化することで合意しており(2021年11月16日記事参照)、今回のUAEの引き上げは同合意に応えたものといえる。

UAE政府は2021年10月、2050年までにGHG排出量ネットゼロ(いわゆる「カーボン・ニュートラル」)の達成を目指すと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。同政府は目標達成に向けた「戦略イニシアチブ」を公表し、再生可能エネルギー関連事業に6,000億ディルハム(約23兆4,000億円、1ディルハム=約39円)以上を投資するとした〔2021年10月7日付UAE国営エミレーツ通信社(WAM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕。

また同年11月には、2023年に開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)をホストすることも決定しており、足元で矢継ぎ早に発表、実行されている再生エネルギーや水素製造のプロジェクトも含め(2021年9月1日付地域・分析レポート参照)、脱炭素への取り組みをさらに加速させている。

(注1)2015年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で署名された、2020年以降の温室効果ガス排出削減などの気候変動抑制に関する多国間協定。

(注2)Nationally Determined Contribution。気候変動対策を実施しなかった場合のBAU(Business As Usual)シナリオと比べてのGHG削減目標。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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