世界経済自由度ランキング、香港が首位維持
(香港)
香港発
2022年09月22日
カナダのバンクーバーに拠点を置くシンクタンクのフレーザー・インスティテュートは9月8日、「世界経済自由度 年次報告書2022年版」を発表した。同年次報告では、2020年の経済状況に基づく「世界経済自由度ランキング」を公表(注)し、香港特別行政区は前年に引き続き1位を獲得した。
香港の総合評価点は8.59ポイント(10点満点)と、前年の8.87ポイントから0.28ポイント低下した。評価項目は「政府の規模」「法制度と財産権」「通貨の健全性」「国際貿易の自由度」「規制」の5分野で構成し、香港は「国際貿易の自由度」(8.7ポイント)と「規制」(8.8ポイント)で国・地域別1位だった。
香港の総合評価点が前年から低下したことについて、同年次報告では、香港の国家安全維持法が2020年に施行された点に言及しつつも、「中国政府による経済的・政治的な取り締まりと新型コロナウイルス流行がどの程度、評価結果に影響しているのかは不明」とした。ただし、その上で「香港の評価点の落ち込みは、世界平均の評価点の落ち込み(0.16ポイント低下)を上回る」と指摘し、「落ち込みの大部分は、新型コロナ感染対策に起因するというより、中国政府による新たな政策が影響を及ぼしたとみるのが妥当だろう」との見解を示した。
香港政府の報道官は同日、同年次報告とランキング発表に関してコメントを発表。香港が総合評価点で1位を維持したことについて歓迎した一方で、同年次報告書が言及した香港の評価点の落ち込みに関する見解に対しては「中国への返還以来、香港は香港基本法に厳格に従い、『一国二制度』の原則を実施し、さまざまな権利と自由は十分に保障されている」とコメント。香港における「一国二制度」の実践は世界的に評価されていると強調した。
日本は7ランク上昇し12位に
同年次報告の2位のシンガポールは前年から0.33ポイント低下の8.48ポイントで、香港との差は0.06から0.11へとわずかに拡大した。3位はスイス、4位はニュージーランド、5位はデンマークだった。日本は前年から0.15ポイント低下の7.82だったが、順位では12位で前年の19位から大きく伸ばした。
(注)世界165カ国・地域を調査対象とし、全5項目についてそれぞれ10点満点で評価。合計点(50満点)と項目数(5項目)から割り出した平均値を指数として、指数が高い順に調査対象の国・地域を順位付けしたもの。1996年から毎年発表している。2022年版の年次報告では、2020年が包括的なデータが利用可能な最新の年として、同年のランキングを公表している。同年次報告書はフレーザー・インスティテュートのウェブサイトから確認できる。
(松浦広子)
(香港)
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