カナダのトルドー首相、英エリザベス女王死去に追悼の声明発表
(カナダ、英国)
米州課
2022年09月09日
カナダのジャスティン・トルドー首相は9月8日、英国のエリザベス2世女王の死去に際し、追悼の声明を発表した。
トルドー首相は声明の冒頭、英国史上最も長く君臨したエリザベス2世女王への心からの哀悼の意を表し、「(現在の)カナダ国民のほとんどは、エリザベス2世女王陛下以外の君主を知らない。女王陛下は私たちの生活の中に常に存在していた」と述べた。女王が70年の在位中に23回(注)カナダを訪れ、歴史的節目となる数々の重要行事に出席し、全国各地にその足跡を刻んだことに触れ、特にカナダ訪問の際の「故郷に戻れてよかった」との陛下の言葉に、真にくつろいでいる様子だったとして、カナダ国民は女王の愛情に応えてやまなかったと述べた。
トルドー首相はまた、女王のカナダ連邦と国民への生涯をかけた奉仕への謝意を表し、「女王陛下の治世下でカナダ国民は自信に満ち、多様性に富み、将来を見据えた国としての地位を確立した時期でもあった。女王陛下の知恵、思いやり、温かさを私たちはいつまでも忘れず、大切にしていく」「女王陛下のカナダとその人への奉仕は、わが国の歴史の重要な一部として永遠に残る」と述べ、声明は英国王室メンバーへの哀悼の言葉で締めくくった。
メアリー・サイモン・カナダ総督も同日付で追悼声明を発表した。カナダ史上初の先住民族出身(母親がイヌイット)総督の同氏は、先住民の視点で英国女王の姿に触れ、「私が子供のころ、祖母は北極圏の多くの人々と同じように女王を崇敬していた」と述べたほか、特に女王が新型コロナウイルス流行という前代未聞の困難の中、国民にとって心の支えになってきたと述べた。声明によると、女王の在位期間の70年にカナダでは12人の首相と13人の総督が在職した。
女王死去については、カナダ国内の主要紙や放送メディアも特集企画を組むなど、大きく取り上げている。
カナダ政府の公式サイトは、女王関連の特設ページを設けており、行事情報によると、10日間を服喪日とし、女王死去の翌日から葬儀の日までカナダ国内外の政府関連施設で半旗が掲げられる。全国各地で追悼行事も開催され、オタワではクライストチャーチ大聖堂で、政府高官や慈善団体、軍事連隊など女王陛下と関わりの深い組織の代表者らが出席しての国家追悼式典が開催される。式典はカナダ軍と王立カナダ騎馬警察による記念パレードで始まり、カナダ空軍による国会議事堂とクライストチャーチ大聖堂の上空飛行で締めくくる。
特設サイト上では国民の追悼メッセージの電子記帳も受け付けており、寄せられた内容が閲覧できるようになっている。
(注)カナダ政府のトルドー首相の声明文では23回、諸報道では公式訪問は1957年から最後の訪問の2010年までで22回となっている。
(高山さわ)
(カナダ、英国)
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