ボッシュ、米国で大型トラック向け燃料電池スタック生産

(米国、ドイツ)

アトランタ発

2022年09月06日

ドイツ自動車部品大手のボッシュは8月31日、米国サウスカロライナ州の工場を拡張し、燃料電池車向けの燃料電池スタックを生産すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。投資額は2億ドル。2026年の生産開始を予定し、350人の新規雇用を見込む。同工場はボッシュにとって米国で初めての燃料電池関連の生産拠点となる。

燃料電池スタックとは、最小の発電単位の「セル」を複数枚積み重ねたもので、発電装置の働きを担う。個々のセルの中では、継続的に供給される水素と空気中の酸素の化学反応によるエネルギーが電気に変換される。この化学反応の生成物は水、電気、熱のみで、粒子状物質や酸化窒素などの汚染物質は排出されない。また、ボッシュの調査によると、大型で重い車両の場合、生産、運用、廃棄にかかる二酸化炭素(CO2)排出量を合計すると、燃料電池車はバッテリー駆動の電気自動車よりも特にCO2排出量が少ないという。

米国では、複数のメーカーが水素を活用した燃料電池車の開発に取り組んでいる。その1つニコラは、ボッシュの技術を用いた燃料電池大型トラックのプロトタイプを開発し、走行試験を実施している。サウスカロライナ工場で生産する燃料電池スタックは、これら燃料電池大型トラック向けに供給する予定だ。

北米ボッシュ社長のマイク・マンスエッティ氏は「水素経済は大きな可能性を秘めており、ボッシュはこの分野に全面的に取り組んでいる。ボッシュにとって米国で初となる燃料電池関連の生産を発表できたことは、パワートレイン技術に対する多様なアプローチの一環として、顧客の高まる需要に応じるため、大きな節目となる」と語っている。

サウスカロライナ州のヘンリー・マクマスター知事(共和党)は「ボッシュが米国で燃料電池スタック生産の商用化にいち早く取り組むことは、われわれの製造業と労働力の強さを物語っている」と述べるとともに、同社との協力関係を強化したいとの考えを示している。

(高橋卓也)

(米国、ドイツ)

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