英中銀、7会合連続の利上げを発表、保有国債を売却へ
(英国)
ロンドン発
2022年09月26日
英国イングランド銀行(中央銀行)は9月22日、前日の金融政策会合を踏まえ、政策金利を0.5ポイント引き上げて、年2.25%とすると発表した。2021年12月以降7会合連続の利上げとなり、2008年12月以来の高金利となった。
インフレ率は、7月の10.1%から8月の9.9%へとわずかに低下していた。アンドリュー・ベイリー総裁を含む5人の委員は、賃金上昇を伴うタイトな労働市場とターゲットを大幅に上回るインフレ率を踏まえるとさらなる金融引き締めは妥当とし、0.5ポイント引き上げを支持した。なお、政府が9月8日に発表した家計向け支援策「エネルギー価格保証(2022年9月9日記事参照)」は短期的にはインフレのピークを引き下げ前倒すことになるが、数カ月は非常に高いインフレが続くと予想し、同支援策だけでは不十分だと判断した。
3人の委員は、直近のデータから判断してインフレ圧力は持続するとみられ、中期的な予想インフレは高いままだとした。さらに、エネルギー価格保証は需要増につながるとし、早急な引き締め策が、中期的にはインフレ率を目標値に持続的に戻すことに資するとし、0.75ポイント引き上げを支持した。残り1人の委員は、直近のデータが、経済活動の弱まりを示唆していることなどを踏まえ、0.2ポイント引き上げを支持していた。
今回の会合で決議を行うとしていた、資産買い入れ制度(APF)で保有する英国国債の削減については全会一致で決定。今後12カ月間で800億ポンド(約12兆4,000億円、1ポンド=約155円)を満期償還・売却を通じて減らし、総額7,580億ポンドとする。
2022年10月以降、借り入れはさらに拡大する見通し
英国予算責任局(OBR)は9月21日、8月の経済・財政見通しを発表した。2022年4~8月の5カ月間の公的借り入れは、3月の予測を2億ポンド上回る程度で抑えられるとした。一方、エネルギー価格高騰に対する支援策の影響はまだ大きくは表れていないとした。5月に発表された家計支援(2022年5月30日記事参照)の一環である全家庭向けの光熱費の割引が10月に開始されることや、9月発表の各種支援策(2022年9月9日記事参照、2022年9月22日記事参照)にかかる費用を踏まえると、2022年10月~2023年3月に借り入れはさらに増えるとし、3月の予測を大幅に上回ることになると予想した。
(島村英莉)
(英国)
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