経済成長は今後数カ月鈍化、企業は景気後退を懸念、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2022年09月13日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が97日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、7月から8月前半にかけての同地域における経済活動について、全体的に控えめに(modestly)減少したと報告した。多くの関係者が今後数カ月は成長が鈍化すると予想しており、景気後退の可能性について懸念していると報告した。なお、今回の202297日の報告書から、シカゴ連銀を含む6行が、州政府機関、中小企業振興機関、低・中所得世帯を支援するNPOなど営利企業以外の組織から得た地域社会に関する情報を含めるようになった。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は、緩やかに(moderately)増加し、今後12カ月間は同様のペースで増加することが見込まれる。多くの企業が、引き続き業種やスキルを問わず労働者を確保することが困難と報告している。全体として、新規雇用と人材維持のために、賃金と福利厚生のコストは急速に増加した。

個人消費は控えめに(modestly)減少した。商品販売単価が減少したこと、夏の初めはレジャー・サービス支出が高い水準であったにもかかわらず全体としては減少したことを指摘している。また、自動車販売台数は、低水準で横ばいとなったが、新車の予約は好調に推移しているとの報告があった。

企業支出は、全体的にほぼ変化がなかった。小売店在庫は全体的に高水準であり、年内のセールの増加により、在庫の圧縮を期待している。製造業の在庫は緩やかに増加した。小売業と製造業の関係者は、在庫問題が2023年まで続くと予想している。

製造業の需要は、緩やかに(moderately)減少した。各企業は、新規受注が伸び悩む中、大量の受注残の解消に注力しているとのことだ。一方、生産は、労働力の確保とサプライチェーンの問題により、引き続き抑制されている。また、自動車生産は引き続き資材不足で、ほとんど変化がなかった。

農業分野に関しては、2022年の農業収入の見通しはほとんど変化せず、大多数の生産者は2022年に利益を上げるだろうと関係者はみている。同地区の一部は干ばつに見舞われたが、トウモロコシと大豆は平均的な収穫量となると予想されている。

地域社会の状況について、地域開発団体と行政機関は、インフレが一部に財政的な問題をもたらしているものの、経済活動全体にはほとんど変化がないと報告した。また、低・中所得世帯を支援するNPOは、燃料、食料、住宅価格の上昇が家計を圧迫しており、支援サービスへの強い需要につながっていると指摘した。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料表参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(星野香織)

(米国)

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