左派政権誕生後、政府が税制改革法案を提出、法人税は据え置き

(コロンビア)

ボゴタ発

2022年08月17日

コロンビア初の左派大統領となるグスタボ・ペトロ氏就任の翌日の88日、大蔵・公債省は税制改革案を議会に提出した。「平等と社会正義のための税制改革」と名付けられた法案には、高所得者層への課税強化、特定のセクターへの優遇措置撤廃、原油・石炭・金輸出税、健康税などが盛り込まれた。

法人税の税率は、現行の35%に据え置かれた。フリートレードゾーン(FZ)利用者の法人税率は現行20%だが、法案では政府が定める「国際化計画」を順守し承認された企業および、輸出金額が基準値以上の企業のみ20%の税率が適用されるという条件が定められた。また20231月以降、単一法人FZ(注)利用者は、35%の標準税率となる。外国企業の配当金に対する源泉徴収税率は、現行の10%から20%に引き上げられる。

これまでホテル、エコツーリズム、アグロツーリズム、出版会社などは法人税率9%の優遇措置が適用されていたが、法案では撤廃された。原油、石炭、金の輸出に10%の輸出税が課されるほか、加糖飲料には砂糖含有量に応じて100ミリリットル当たり1835ペソ(約0.561.09円、1ペソ=約0.031円)、超加工食品には10%が、製造者や輸入者に対して健康税として課税される。消費喚起のために、年3回設けられていた免税デーは撤廃された。

ペトロ政権初の税制改革では、2023年に25兆ペソの税収増を見込み、2026年までに50兆ペソまで拡大することを目指している。新たな歳入は、貧困や格差是正のための社会支出に充てられる。

(注)従来のような主要都市や港湾近郊に設けられたFZではなく、単一の企業が申請をして承認されれば、コロンビア国内のどこでもFZとしての優遇を受けられる制度。国内に約80カ所ある。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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