アウトソーシング法改正に関する罰則規定公布、経済団体は労使関係法改正と併せて強く反発
(ペルー)
リマ発
2022年08月19日
ペルー労働雇用促進省(MTPE)は8月17日、企業の中核業務の外部委託を禁ずるアウトソーシング法改正に関して、罰則規定を定めた大統領令第015-2022-TR号を公布した。同大統領令は「中核業務の外部委託」「外部委託契約内容の違反」「正社員、外部委託労働者、労働組合に対する報告不履行」「人手不足の解消を理由に外部委託を行う」などを全て労働査察総合法(大統領令第019-2006-TR号)の重大な違反対象とし、違反した企業は従業員1,000人以上の場合、罰則金52.53UIT(注1)を科すもの。
アウトソーシング法を定めた法令第29245号とその適用範囲を定めた立法令第1038号は2022年2月23日に改正され、同大統領令は公布から180日後の8月22日から施行される。
MTPEによると、ペルーのアウトソーシング請負企業または労働仲介企業数は2021年12月時点で1,698社、労働者数は12万3,984人に上っている。ペルー経団連(CONFIEP)やリマ商工会議所(CCL)などではこれらの正規労働者の雇用機会の損失や全ての企業の競争力低下について危惧しており、法改正の撤回を求めている。
アウトソーシング法改正に加えて、MTPEでは、7月24日にも労使関係法を改正する大統領令第014-2022-TR号を公布している。同大統領令では「労働組合設立の権利」「労働者による企業財務情報の開示請求権」「雇用主との合意抜きのスト決行権」を規定している。一方で、これらの改正は国家労働雇用促進委員会(CNTPE、注2)での議論を経ていないため、CONFIEPなど主要経済団体はMTPEに対して改正の撤回をするまでCNTPEから離脱することを宣言している。
(注1)課税単位(UIT)。2022年8月は1UIT=4,600ソル(約16万1,000円、1ソル=約35円)。
(注2)労働雇用促進相を委員長として、労働者側からペルー労働者総連合(CGTP)、ペルー中央統一労働組合(CUT)、ペルー労働者連合(CTP)、ペルー労働組合自治連合(CATP)、産業界からはペルー銀行協会(ASBANC)、ペルー鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)、ペルー建設業商工会議所(CAPECO)、ペルー貿易業協会(COMEX PERÚ)、ペルー全国漁業組合(SNP)、ペルー工業協会(SNI)、リマ商工会議所(CCL)、ペルー輸出業協会(ADEX)、ペルー中小企業協会(APEMIPE)、ペルー小規模企業集合体(CPEP)が参加。その他の7団体も参加。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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