通関手続きの迅速化が進展

(サウジアラビア)

リヤド発

2022年08月30日

サウジアラビア政府が推進する国家戦略「ビジョン2030」には、税関システムのさらなる効率化を目指すことが盛り込まれている。最新事情について、国内最大の貨物取扱量の西部ジッダ税関のゼネラルマネージャーとして現場を監督するアブ・ガッサン氏をはじめとする税関関係者に話を聞いた(821日)。

なお、ジッダで輸入業務に携わる日系企業関係者によると、税関処理が以前に比べて改善したことを実感するケースも報告されている。

(問)通関業務の見直し状況は。

(答)2020年末以降、全国の税関システムを中央集権化し、すべてのデータを集めて、リヤドの本部で判断ができる体制を構築した。従来、ルールは共通だったが、各種判断について税関ごとに生じていた相違の幅が最小化された。

(問)通関手続きの迅速化について。

(答)税関における書類審査に要する時間は2時間以内にまで短縮された。クリアランス全体についても、同様に2時間を目標に取り組んでいるところ。また、データ分析によるリスク判定システムを利用することによって、通関時に貨物の中身を実際にチェックすることは全体のおよそ15%まで減少した。残りの85%は、実際のチェックなしにクリアランスが行われる。

(問)企業側の負担の軽減について改善した点は。

(答)輸入者は、通関の5日前までに貨物に関する必要情報を税関システムに入力し、同データに基づき税関検査が行われる。その結果、輸入者が提出する書類は12種類から、船荷証券(Bill of Landing)とインボイスの2種類のみに削減された。原産地に関する情報についても税関システムに入力されるため、原産地証明書の提出は特に求めていない。

(秋山士郎)

(サウジアラビア)

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