サル痘ワクチン接種対象者を拡大、追加購入も発表

(ベルギー)

ブリュッセル発

2022年08月03日

ベルギー連邦政府と地域政府の保健当局で構成するリスク管理グループは7月29日、サル痘ワクチン接種の対象者拡大を発表(プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ベルギーでは7月11日以降、特定の医療従事者や感染者と、予防なしで非常にリスクの高い接触をした人などを対象に、ワクチン接種を実施してきた。リスク管理グループは、感染者と接触した者の追跡は依然として非常に困難で、予防なしでリスクの高い接触をした後、所定の時間内に名乗り出る人の数も限られているため、ワクチン接種対象者を拡大し、リスクのあるより多くの人がワクチン接種を受けられるようにするとした。

これまでは以下のグループを対象に暴露後4日以内を目安にワクチン接種を実施してきた。

  1. リスクの高い接触をした(例:家族が感染、発疹のある患者と衣類や寝具、台所用品を共有など)後に、免疫力が低下した人。
  2. 非常にリスクの高い接触をした人(例:性的接触、発疹や傷のある人との長時間の皮膚接触など)
  3. 予防なしにリスクの高い接触をした医療従事者(例:感染者との長時間の対面接触、感染者の体液との接触や飛沫への暴露など)

今回の決定で、これまでの対象者に加え、以下のリスク・グループに対し、暴露前のワクチン接種を実施する。

  1. 男性およびトランスジェンダーのセックスワーカー
  2. HIV陽性またはHIV暴露前予防内服(PrEP)を服用中の男性間性交渉者(MSM)で、過去1年間に少なくとも2回性感染症に罹患(りかん)したことがある人
  3. 免疫異常があり、感染する可能性が高い人
  4. ウイルス培養を扱う実験室スタッフ

フランク・バンデンブルク副首相兼社会事業・厚生相は7月16日、1万5,000人分に相当する3万回分のサル痘ワクチンの追加購入を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。前日の15日には、欧州委員会の共同調達を通じて、サル痘治療薬として米国のSIGAテクノロジーズ製の天然痘治療薬「テコビリマット」を1,000回分購入することも決定した。バンデンブルク氏は「できる限りサル痘への意識を高める取り組みを行っているものの、感染者数は増加しており、十分な備えが必要だ。追加のワクチンを受け取り次第、早ければ10月からリスクのあるより多くの人々にワクチン接種を呼びかける」としている。

ベルギーでは5月からサル痘感染者が発生し、予防的措置として21日間の自主隔離を求めている(2022年5月24日記事参照)。ベルギーでは8月1日時点で482人の感染が確認されている。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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