第2四半期のGDP成長率は前年同期比5.4%、成長幅は鈍化傾向に
(チリ)
サンティアゴ発
2022年08月25日
チリ中央銀行の発表(8月18日)によると、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前年同期比5.4%だった。GDPは好調な個人消費に支えられ内需が増加したものの、過去1年の四半期の成長率と比べると、上昇幅は縮小している。
GDP成長率を需要項目別にみると、内需は前年同期比8.7%増だった(添付資料表1参照)。うち民間消費は7.7%増で、主に運輸やレストラン・ホテルなどのサービスへの支出や、非耐久消費財の衣服や燃料への支出が増加した。一方で、耐久消費財のテクノロジー製品への消費は減少している。政府消費は6.8%増で、主に教育サービスへの支出が増加した。
総固定資本形成は、前年同期比7.3%増だった。設備投資が、産業用のトラックや牽引車への投資増により11.5%増となった。建設・その他の投資は、住宅建設の増加や鉱業関連の投資プロジェクトの再開によって4.7%増だった。
財・サービスの輸出入では、輸出が前年同期比0.3%減、輸入が10.9%増だった。輸出は主に銅の輸出減によるもので、輸入は燃料や衣類の輸入増によるもの。サービスの輸出入はどちらも増加した。
経済活動別にみると、全体の成長率への寄与率が高かったのは個人サービス(寄与率:37.4%)、運輸(25.9%)、企業サービス(15.8%)の順だった(添付資料表2参照)。個人サービスは、公的教育と文化活動、余暇活動の増加によるもので、企業サービスは、コンサルティングや広告などの専門的な活動の増加によるもの。運輸は、比較対象の前年同期が「新型コロナ禍」の各種規制の影響を受けていたための反動増でもあり、運輸に関連する活動のほとんどで回復がみられた。
一方で、鉱業や農林業は、前年同期比でマイナス成長となった。鉱業は、干ばつによって利用可能な水が減少していることや、操業上の問題、主要鉱山での鉱石の品質低下を原因とした銅の採掘減によって、4.5%減となった。農林業は、野菜の収穫減やセルロース用のユーカリの生産減などが響き、5.4%減となった。
中銀は6月に発表した金融政策報告書で、2022年通年のGDP成長率は1.5~2.25%のプラス成長になるとの予想を発表している。
(岡戸美澪)
(チリ)
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