サル痘感染者は368人に、ワクチンは未承認

(スイス)

ジュネーブ発

2022年08月12日

スイス連邦内務省保健局(FOPH)が公開しているサル痘に関する特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、スイスでは521日に最初の感染例が確認されて以来、811日までの累計感染者数は368人となっている。世界保健機関(WHO)が723日にサル痘の感染拡大を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に認定しているが、現在のところスイスでは、感染者数がわずかに増加しているものの、脅威は中程度としている。サル痘に関する入国規制などの水際対策は89日時点では実施していない。

スイスでは、天然痘ワクチンとして承認された第1世代、第2世代のワクチンが1972年まで天然痘根絶の一環で用いられてきたが、現在は研究室での暴露向けにごくわずかな量しか備蓄されていない。EUや英国、米国で承認されている第3世代の天然痘ワクチンはスイスでは承認されていないため、国内では現在、サル痘向けのワクチン接種は行っていない。ただし、FOPHによると、今後のワクチンの調達可能性が検討されている。

スイスでも他国同様、男性間性交渉者(MSM)の感染者数が最も多いとされている。ワクチンがいまだ承認されていない状況について、LGBTIQ+支援団体の「Dialogai」は83日、ワクチン購入の一元化や製薬産業と連携したワクチン承認の申請手続きを遅滞なく行うようスイス保健当局に求める声明を発表。ウイルスに接触した人や感染リスクが高い人を対象にしたワクチン接種キャンペーンや、サル痘感染に対して差別を招かないよう大規模な情報提供キャンペーンを緊急で行う必要性を訴えた。

(深谷薫、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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