欧州委からのサル痘ワクチン提供を受け、4州で接種開始

(イタリア)

ミラノ発

2022年08月12日

イタリア保健省は、サル痘ワクチンとして承認された天然痘ワクチン「ジンネオス」(注)の第1回分が欧州委員会から配布されたことを受け、国内での投与可能分の配布計画を8月4日に公表(イタリア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

これまでに報告された症例数が多い地域のロンバルディア州(州都:ミラノ)、ラツィオ州(州都:ローマ)、エミリア・ロマーニャ州(州都:ボローニャ)、べネト州(州都:べネチア)へ、それぞれ2,000回、1,200回、600回、400回分を配分。また、現時点で8月下旬に予定されている第2回分の配布までにも、希望する地域・自治体に対してすぐに20回から最大60回分のワクチンを配布できるとした。

また、保健省は85日付の発表で、現在の感染拡大状況とワクチン数量が限られていることを踏まえ、天然痘ウイルスやサル痘ウイルスを含むオルソポックスウイルス属に直接さらされる可能性のある研究所の職員や医療従事者のほか、男性間性交渉者(MSM)などで3カ月以内に複数人との性的接触があった人などを高リスクカテゴリーの対象とし、かつ18歳以上ならば暴露前予防投与を可能とするとしている。

ローマのスパランツァーニ研究所は88日、国内初のワクチン接種を開始したと発表。同日時点で600件以上の接種希望があり、200件が既に予約されている。

89日時点の保健省の発表によると、報告されている症例は599件、うち国外からの帰国者による感染は169件、性別では男性が590件、女性が9件となっている。

(注)デンマークのバイオ医薬品会社ババリアン・ノルディックの天然痘ワクチン「インバネックス」の米国での販売名。欧州では「インバネックス」の在庫が現在少ないことから、欧州医薬品庁(EMA)は加盟国に対し「ジンネオス」の一時的な使用を勧告している。

(山本千菜美)

(イタリア)

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