CATLと成都市政府、戦略的協力協定を締結、電池分野での協力強化

(中国)

成都発

2022年08月04日

車載電池の生産販売で世界トップシェアを誇る中国の寧徳時代新能源科技(CATL、本社:福建省寧徳市)は730日、成都市政府と戦略的協力枠組み協定を締結した。双方は今後、成都市で電池交換インフラの整備や、車載電池コア部品の製造、新エネルギー、蓄電システムなどの分野で全面的な協力を展開していく方針。

また、CATLは同日、四川省成都市に西南地域運営本部と電気自動車(EV)向けの燃料電池研究開発施設を設立すると発表した。同社は、自社の車載電池製造、電池交換、電力貯蔵などでの優位性を生かして、新技術やサービスなど多方面で成都市政府との協力を強化する。

併せて、CATL子会社の時代電服科技(福建省アモイ市)は成都交通投資集団と協力協定を締結した。時代電服は20221月、電池交換サービスブランドの「EVOGO」を立ち上げ、中国国内10都市で電池交換サービス(注)を展開する計画を発表。今回の協定によって、成都市での電池交換サービスが正式に始動するとみられる。時代電服は電池交換サービス導入で、航続距離や燃料充填(じゅうてん)、購入コストといったEVが抱える課題解消を目指し、成都市の自動車産業のレベルアップを推し進める意向だ。

四川省では、CATLの事業展開が目立つ。20216月にCATLの全額出資子会社の四川時代新能源科技(四川省宜賓市)の燃料電池第1期プロジェクトが稼働した。翌7月にはCATLは宜賓市と包括的提携協定を締結した。CATLは四川省では宜賓市に加え、成都市新津区や金堂区にリチウムイオン電池の生産拠点を構え、四川省や重慶市に集積するEVメーカーを中心に中国国内各社へ車載電池を供給している。

目下、CATLの車載電池累計出荷量は400ギガワット時(GWh)を超え、2022年上半期の車載電池の世界市場シェアは34%に達する(「CATLウェブサイト」721日)。

同社は成都市のほか、山東省や河南省、貴州省の各政府とも協力協定を結んでおり、中国各地で電池技術の研究、生産能力の拡張を目指す。

(注)電池交換サービスとは、従来の充電とは異なり、電池交換ステーションで電池パックを交換することにより、短時間で車の充電を可能とする充電サービスのこと。

王植一

(中国)

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