初のグリーン超長期国債、低炭素社会実現の財源へ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年08月08日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は84日、同日に募集を開始した総額24億シンガポール・ドル(約2,352億円、Sドル、1Sドル=約98円)のグリーン国債の利回りが3.04%と発表した。シンガポール政府が低炭素社会実現のための財源調達を目的とした国債を発行するのは初めて。また、満期が50年の超長期の国債を発行するのも初となる。

MASの発表によると、総額24Sドルのグリーン国債(Aug-72 bond)のうち、235,000Sドルは機関投資家や認定投資家向け、残り5,000Sドルが個人投資家向けに発行される。同グリーン国債に対する投資家からの需要は高く、235,000Sドルの発行規模は当初想定していた発行目標レンジの上限に達したとしている。個人投資家向けの同グリーン国債の募集は85日に開始し、同月10日に締め切られる。

グリーン国債からの調達資金は、政府が2021210日に発表した低炭素社会の実現に向けた環境行動計画「シンガポール・グリーンプラン20302021年4月28日付地域・分析レポート参照)」の財源となる。政府は2022218日発表の2022年度(20224月~20233月)政府予算で、2030年までに総額350Sドルのグリーン債券(グリーンボンド)を発行する計画を明らかにしていた。

政府は今回の発行を前に、グリーン国債発行の指針となる「シンガポール・グリーンボンド・フレームワーク」を発表していた。同フレームワークによると、グリーン国債発行の調達資金が、(1)再生エネルギー、(2)エネルギー効率改善、(3)グリーンビルディング、(4)環境に優しい輸送、(5)持続可能な水・汚水処理、(6)公害対策・循環型経済、(7)気候変動対策、(8)生物多様性保全と持続可能な天然資源・土地利用に関する支出に充てられる。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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