企業魅力度、エンプロイヤーブランド・リサーチ、インドで働きたい企業はマイクロソフトが首位
(インド)
アジア大洋州課
2022年08月22日
人材紹介大手ランスタッド(本社:オランダ)が毎年行っている、勤務先として魅力ある企業を世界共通基準で測る独自調査「エンプロイヤーブランド・リサーチ(企業魅力度:REBR)2022年版」の結果がこのほど発表された(注1)。同調査によると、前年3位だった米国マイクロソフトが、インドで最も魅力的な勤務先となった。以下、2021年の10位圏外から急浮上したドイツのメルセデス・ベンツ、米国アマゾン(前年2位)が続いた。一方で、前年首位だった米国グーグルは10位圏外に順位を落とした。インドの大手IT企業インフォシス、ウィプロ、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)が5位、6位、7位にランクインし、前年よりも地場企業がプレゼンスを高めた印象だ(添付資料表参照)。
本調査では、求職の際に重視する点について、「ワークライフバランス」や「雇用の安定」「給与水準の高さ、福利厚生の充実度」「仕事のコンテンツ」「リモートワークの可能性」などの10項目をヒアリングしている。インドでは雇用主を選ぶ基準として、「ワークライフバランス」が63%と最も高く、以下、60%の「給与水準の高さ、福利厚生の充実度」と「企業の評判のよさ」、「財務の健全性」と「マネジメントの高さ」がそれぞれ58%と続いた(注2)。
また、回答者のうち、ホワイトカラー就業者の66%が、ワークライフバランスを優先する一方、ブルーカラー就業者の54%が、企業の評判や財務の健全性を挙げている。全体的には、平均的な欧州の就業者に比べ、インドでは企業の評判が非常に高く評価される点も指摘している。
さらに、インドの求職者にとって魅力的な業界分野はIT、情報技術対応(ITeS)&テレコム、日用消費財(FMCG)、小売り・Eコマース、自動車、銀行・金融・保険(BFSI)である点も示された。
個人のキャリア形成をどの程度重視するかという点については、インドの就業者10人中9 人(88%)が、企業研修および個人のキャリア形成に重きを置いている結果となった。これは、APAC(注3)の平均(76%)より10ポイント以上高い。
インドでのリモートワークは、2021年の84%から、2022年には73%(APACは42%)に減少した。学歴や年齢との強い因果関係はないとしつつ、男性よりも女性の間でより、リモートワークが一般的とした。なお、インドの女性の76%がリモートワークを重視し、男性が重視する比率は69%だった。
(注1)同調査は、世界31カ国・地域の18~64歳の約16万3,000人の回答者および5,944社の企業を対象に、2022年1月にオンラインアンケートにて実施された。2022年のインドの回答者は、3,569人(学生・従業員・求職者)で、男女比は男性が51%、女性が49%。年代では25~44歳が全体の60%を占め、学歴では高学歴者が58%と最も高かった。回答者を在住地域別でみると、デリー首都圏(NCR)の25%を筆頭に、ムンバイおよびプネ(マハラシュトラ州)が24%、コルカタ(西ベンガル州)が11%、ベンガルール(カルナータカ州)が10%だった。
(注2)世界では、61%が給与水準の高さと福利厚生の充実度を重要と考え、57%がワークライフバランス、55%は長期的な雇用の安定を重要視しているという。他方、日本では、給与および福利厚生と並び「快適な職場環境」が最上位に挙がった(55%)。また、全体では2021年に転職を検討している回答者は15%と減少したものの、雇用への不安から2022年前半では22%に転じたという(2021年末の転職者は前年比33%増)。
(注3)アジア太平洋地域を指す。ここでは、オーストラリア、中国、香港、インド、日本、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール。
(寺島かほる)
(インド)
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