東ティモールのASEAN加盟に向け、調査団を派遣

(ASEAN、東ティモール、タイ)

バンコク発

2022年08月18日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は81日、ASEAN高級経済実務者会合(SEOM)のメンバーやASEAN事務局の代表者から構成されるASEAN代表団が、719日から21日にかけて東ティモールを訪問し、同国のASEAN加盟に向けた準備状況を評価・査定したことを明らかにした。ASEAN経済共同体(AEC)に関連し、物品貿易、サービス貿易、投資の自由化や、貿易円滑化、自由貿易協定(FTA)への参加といった観点で、同国がASEAN加盟国としての関連義務を履行する準備ができているか調査が実施された。

DTNによると、ASEAN代表団と東ティモールのジョゼ・ラモス・ホルタ大統領および政府高官との会合で、東ティモール側は「ASEAN加盟に必要なすべての条件・要件を順守する用意がある」と表明した。また、経済分野では、財政政策、関税、貿易・産業、農林水産業、交通・基礎インフラのほか、同国の主要産業である石油・鉱物資源などに関して、開発政策や計画が明らかにされた。

現在、東ティモールは石油・鉱物産業に依存しており、より多くの国民所得を生み出すため、雇用創出、新たなサービス産業の開発が検討されている。港湾・ヨットハーバーの建設、市街地の整備、コーヒー産業や遠洋漁業の高度化など、産業・観光の振興が目指されている。これらの点について、東ティモール商工会議所を中心とする民間部門は、東ティモールとASEAN加盟国との戦略的連携に期待しており、ASEAN加盟に向けて熱心な支持が表明されたという。

東ティモールは、2011年にASEANへの加盟を正式に申請した。今回派遣されたASEAN代表団には、AEC実態調査団のほか、ASEAN政治・安全保障共同体(APSC)実態調査団、ASEAN社会・文化共同体(ASCC)実態調査団も含まれ、東ティモールのASEAN加盟準備状況が多面的に評価・検討された。視察の結果は今後、ASEAN首脳に報告され、検討される予定。アジア開発銀行(ADB)の2020年の報告書によると、東ティモールのASEAN加盟は、貿易、投資、労働者の移動といった側面で、ASEAN加盟国にさらなるビジネス機会をもたらすとしている。

なお、現在、東ティモールと貿易を行う主なASEAN加盟国としては、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイが挙げられる。2021年のタイと東ティモールの2国間貿易は前年比3.1倍の1,168万ドルで、タイ側が1,082万ドルの貿易黒字となっている。タイからの主な輸出品目は自動車・同部品やコメで、主な輸入品目は植物・同製品、野菜・果物および調製品だ。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(ASEAN、東ティモール、タイ)

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