トランプ前米大統領、中間選挙と次期大統領選での共和党勝利に強い期待、退任後初のワシントン訪問

(米国、中国、メキシコ)

米州課

2022年08月01日

米国のドナルド・トランプ前大統領は726日、首都ワシントンで開催された米国第一政策研究所主催の会議で演説を行った。トランプ氏がワシントンを訪れたのは退任後初めてとなる。

トランプ氏は演説の冒頭、自身の政権が挙げた成果を強調しつつ、現在の高インフレやエネルギー価格の高騰、不法移民の増加などを例示し、11月の中間選挙は米国の未来を救う好機になると語った。また、同氏は共和党が中間選挙で大きな勝利を収め、2024年の大統領選挙では共和党候補が勝利するだろうと述べた。

「米国を取り戻す」ための最重要事項として、安全対策を挙げた。民主党が治める連邦や地方自治体で治安が悪化していると述べた上、自身が考える取り締まりの計画を発表した。移民問題には多くの時間を割き、米国とメキシコの国境における同国との交渉は成功したと主張し、共和党の次期大統領は国境に関する自身の取り組みを引き継ぐべきだと語った。

また「自分は大統領選挙に2度勝利し、2度目の方が良い結果だった」と述べ、2022年の大統領選挙が不正だったとの従来の考えをあらためて主張し、政治的正しさを取り戻そうと訴えた。通商問題については、サプライチェーンと工場を米国に回帰させる必要があるとして、北米自由貿易協定(NAFTA)を廃止して米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を発効させた自身の成果を強調した上、ジョー・バイデン大統領は中国に対する関税を緩和すべきではないと述べた。さらに、国内の雇用やエネルギーの自立を取り戻す必要性を指摘した。

新型コロナウイルスについては「米国は中国の責任を追及する委員会を設置しなければならない」と述べ、アンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長の助言とは正反対の取り組みを実行してうまくいったとも主張した。さらに、中国のスパイを取り締まり、華為技術(ファーウェイ)などの米国進出を阻止した自身のイニシアチブを復活させる必要があるなどと述べた。

トランプ氏は2024年大統領選挙について自らの立候補を表明することはなかった。他方、共和党が再び政権を奪取することに強い期待を示し、会場に集まった聴衆を沸かせた。

(片岡一生)

(米国、中国、メキシコ)

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