拡大するオーガニック食品市場、ジェトロがBIOFACH2022でジャパンパビリオンをリアル出展

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2022年08月09日

ドイツ南部バイエルン州ニュルンベルクで72629日、世界最大級のオーガニック食品見本市「ビオファ(BIOFACH2022」が開催された。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初予定していた2月の開催が延期されたため、初の夏の開催となったが、94カ国から2,276社が出展、137カ国から24,000人超が来場した。2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンライン開催となったため、1,442社の出展、オンラインイベント参加者は13,800人にとどまった(202132日記事参照)。

ジェトロは今回、2020年に引続きジャパンパビリオンを設置した。同パビリオンには、日本茶を中心に、調味料、発酵食品の企業である次の14社が参加した。みて(神奈川県)、加賀建設(石川県)、丸松製茶場(静岡県)、流通サービス(静岡県)、むそう商事(大阪市)、アイシン商事(大阪市)、藤二商会(京都市)、茶匠六兵衛(京都市)、光食品(徳島県)、和香園(鹿児島県)、かごしま有機生産組合、SUI/TEN、高田茶園茶濃香(京都府)、杉本商店(宮崎県)。

ドイツの統計プラットフォーム企業Statistaによると、2020年の世界のオーガニック製品の市場規模は、これまでで最高の1,207億ユーロだった。中でも、EU市場は448億ユーロで、全体の約4割を占め、うちドイツは150億ユーロだった。国別にみると、ドイツは米国の495億ユーロに次ぐ世界2位の市場だ。

チェム・エズデミル食料・農業相は「ビオファ」の開会宣言において、「有機農業は、種の絶滅や気候危機といった、われわれの惑星の危機に対する答えだ」と強調し、そのため「ドイツは2030年までに、耕作地の総面積のうち30%で有機農業を実施する」と政府の方針を説明した。

ジャパンパビリオンには、会期4日間を通じて、ドイツの大手有力バイヤーをはじめ、欧州中から商談を目的にしたバイヤーの訪問があり、「ビオファ」に継続出展中の企業を中心に大きな商談成果を得たほか、新規出展の企業も取引先候補になるバイヤーと出会えた。継続出展する日本企業からは「新型コロナ危機前に出会ったバイヤーとリアルで久々に直接会うことができ、関係構築につながっている」との声もきかれた。会期中、ニュルンベルクを管轄する前川信隆・駐ミュンヘン日本総領事がジャパンパビリオンを訪問し、各出展企業にエールを送った。

写真 ジャパンパビリオンで緑茶の説明を聞く来場者(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンで緑茶の説明を聞く来場者(ジェトロ撮影)

写真 欧州などからのバイヤーがジャパンパビリオンに関心を寄せた(ジェトロ撮影)

欧州などからのバイヤーがジャパンパビリオンに関心を寄せた(ジェトロ撮影)

また、ミシュランと並ぶ有力なレストランガイドである「ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau)ドイツ版」の編集長として、ドイツで影響力のあるクリストフ・ビルツ氏が、ジャパンパビリオンを訪問した。緑茶や調味料などの出展企業のブースを訪問し、「ドイツにおける日本食の潜在性の高さを再認識した」と語った。

写真 ジャパンパビリオン出展企業でオーガニック食品・自然食品を取り扱う、むそう商事代表取締役社長の岡田征剛氏と意見交換するクリストフ・ビルツ氏(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオン出展企業でオーガニック食品・自然食品を取り扱う、むそう商事代表取締役社長の岡田征剛氏と意見交換するクリストフ・ビルツ氏(ジェトロ撮影)

次回の「ビオファ」は、202321417日にニュルンベルクで開催の予定。

(小菅宏幸、小飼志保)

(ドイツ、日本)

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